セクハラ相談を受けた管理職。初動対応をどうすべき?

ご相談内容【想定相談事例】

大阪市内で従業員40名の会社を経営しています。先日、30代の女性社員から「同じ部署の上司から、食事にしつこく誘われたり、体型のことをからかわれるのがつらい」と管理職あてに相談がありました。

相談を受けた管理職は、「本人同士で話し合ってもらうべきか」「上司にすぐ注意すべきか」「会社として正式に調査すべきか」判断に迷っています。対応を誤ってトラブルが大きくなるのも心配ですし、放置するわけにもいきません。

このような場合、管理職として、そして会社として、最初にどう対応すべきでしょうか。

お悩み

  • セクハラ相談を受けたとき、最初に何をすればよい?
  • 相談内容を、加害者とされる人にどこまで伝えてよい?
  • 会社として必ずやっておくべきことは?

結論:まず「話をきちんと聴く」「記録を残す」「会社の窓口につなぐ」の3つが初動対応

結論から申し上げますと、セクハラ相談を受けた管理職の初動対応で最も重要なのは、「否定せずに話を聴く」「記録に残す」「会社としての正式な対応につなぐ」ことです。

初動対応の3原則

  • 相談者の話を否定せず、最後まできちんと聴く
  • 会話の内容を記録に残す(日時・内容・相談者の様子)
  • 管理職一人で抱え込まず、人事・総務など会社の窓口につなぐ

この3つを外さなければ、後から「会社の対応が不十分だった」と非難されるリスクを大きく減らすことができます。

初動対応の重要性

対応を誤ると、会社の責任が問われる

セクハラ相談に対して、

  • 「それくらい気にしすぎじゃない?」と軽く扱った
  • 相談者に「我慢して」と言った
  • 相談を受けたまま何もせず放置した

といった対応をすると、会社としての安全配慮義務違反として責任を問われる可能性があります。

二次被害を防ぐ

不適切な対応によって、

  • 相談者がさらに傷つく(二次被害)
  • 職場で噂が広がり、働きづらくなる
  • 退職や訴訟に発展する

といった事態を招くおそれがあります。

相談者の話を最後まで聴き、否定しない

安心して話せる場所を確保する

  • 周りに人がいない個室や会議室で話を聴く
  • 時間に余裕をもって対応する(30分〜1時間程度)
  • 可能であれば、同性の担当者も同席する

言ってはいけない言葉の例

× 「そのくらい、どこでもある話だよ」
× 「本気じゃなくて冗談なんじゃない?」
× 「あなたにも原因があるんじゃないの?」
× 「気にしすぎじゃない?」
× 「我慢できない?」

こうした言葉は、相談者を二重に傷つけ、「もう会社には相談できない」と感じさせてしまいます。

適切な対応の例

○ 「話してくれてありがとう。まずは詳しく聞かせてください」
○ 「それはつらい思いをしましたね」
○ 「会社としてきちんと対応します」
○ 「今後のことを一緒に考えましょう」

相談者が安心して話せる雰囲気をつくることが、第一歩です。

事実関係を整理し、記録に残す

聞いておくべき基本事項

セクハラ相談では、次のような情報を確認します。

いつ

  • 日時・期間(「先月から」「毎週水曜日に」など)

どこで

  • 場所(職場内・飲み会・外出先・オンライン会議など)

誰から

  • 相手の氏名・部署・役職

どのような言動があったか

  • 具体的な言葉・行動(「体型についてからかわれた」「しつこく食事に誘われた」など)

本人はどう感じたか

  • 不快・恐怖・苦痛など

証拠の有無

  • メール・チャット・録音・メモなど

記録の仕方

  • 相談を受けた日時・場所
  • 相談者の氏名・部署
  • 相談内容(できるだけ具体的に)
  • 相談者の様子(泣いていた、怒っていた、不安そうだった、など)

記録は、相談者にも内容を確認してもらい、「この内容で間違いないですか?」と確認を取ると、後のトラブル防止になります。

記録の保管

  • 記録は、必要な関係者以外の目に触れないよう厳重に保管
  • USBメモリやメールでの無断持ち出しは厳禁
  • プライバシー保護を徹底する

会社としての窓口・担当者につなぐ

管理職一人で抱え込まない

セクハラ相談は、判断を誤ると大きなトラブルにつながります。

  • 管理職が独断で「注意しておいたから大丈夫」と終わらせるのは危険
  • 会社として定めた相談窓口(人事・総務・外部窓口など)に必ず共有する
  • 小さな会社でも、経営者や責任者には必ず報告する

相談者の意向も確認する

次のステップに進む前に、相談者の気持ちも確認します。

  • 「どこまで会社に共有してほしいか」
  • 「相手にすぐ伝えてほしくないかどうか」
  • 「どうしてほしいか(注意・配置転換・正式調査など)」

ただし、重大なハラスメントが疑われる場合は、相談者の希望に関わらず会社として調査・対応が必要になることもあります。

加害者とされる側への対応は「慎重に」

いきなり2人を面談させない

  • 「本人同士で話し合って解決して」は厳禁
  • 相談者が心理的に追い詰められる
  • パワーバランスが崩れている場合、公平な話し合いにならない

本人への聞き取りは段階を踏んで

会社として事実確認を進める場合は、

  • 加害者とされる側にも事情を聞く必要がある
  • その際は、「事実確認が目的」「すぐに処分を決める場ではない」ことを説明
  • 感情的にならず、冷静に事実を確認する

噂話にしない・広げない

  • 「誰が誰を告発した」といった噂が広がると、二次被害につながる
  • 相談内容は、必要最小限の関係者だけで共有
  • 職場内での口外を厳しく禁止する

再発防止策と職場環境の見直し

個別の件だけで終わらせない

相談への対応と同時に、職場全体の雰囲気も見直します。

よくある「グレーゾーン」の例

  • 「若いんだから、もっと笑顔で」と言う
  • 「結婚しないの?」「子どもは作らないの?」とプライベートに踏み込む
  • 外見や体型についてコメントする
  • 飲み会で隣に座ることを強要する

こうした言動が「セクハラ」になることを、全社員に周知することが大切です。

ルールと教育の整備

  • セクハラ防止規程の作成・見直し
  • 就業規則にハラスメント禁止条項を明記
  • 管理職向けのハラスメント研修
  • 従業員全体への啓発活動

「何がセクハラにあたるのか」を具体的に共有することで、相談が起きたときの対応もしやすくなります。

よくある質問

Q1:相談を受けたことを、上司に報告してもよい?

A:会社として対応するため、人事・総務・経営者などには報告が必要です。
ただし、相談者の同意を得て、どこまで共有するかを事前に確認しましょう。

Q2:相談者が「誰にも言わないで」と言った場合は?

A:プライバシーには最大限配慮しますが、重大なハラスメントの場合は会社として対応する必要があります。
「あなたを守るために、必要な範囲で会社に相談させてください」と説明しましょう。

Q3:加害者とされる側が「そんなつもりはなかった」と言った場合は?

A:「つもりがなかった」としても、相手が不快に感じればハラスメントになり得ます。
本人の意図ではなく、相手がどう感じたかが重要です。

まとめ

セクハラ相談を受けた管理職の初動対応は、

  • 相談者の話を最後まで聴き、否定しない
  • 事実関係を整理し、記録に残す
  • 管理職一人で抱え込まず、会社の窓口につなぐ
  • 加害者とされる側への対応は慎重に
  • 職場全体の再発防止策も並行して進める

という流れが基本です。

上本町社会保険労務士事務所では、

  • セクハラ相談があった場合の社内フロー作り
  • ハラスメント規程・就業規則の整備
  • 管理職向けの初動対応研修

などを通じて、「相談しやすく、適切に対応できる職場づくり」をサポートしています。

「こういう相談があったが、対応に自信がない」
「ハラスメント規程を整えたい」

そんなお悩みがあれば、まずはお気軽にご相談ください。

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