ニュースレター【20241215】

2024年も残すところわずかとなりました。
今年は、マイナ保険証への移行や年金制度の大きな改革案など、人事労務に関わる重要な制度変更が相次ぎました。 
来年は65歳継続雇用制度の完全義務化や、厚生年金の「106万円の壁」撤廃など、さらなる制度改正が予定されています。
企業の人事労務担当者の皆様におかれましては、これらの動向に注視しながら、適切な対応が求められる年になると思われます。
 今回は、2025年問題への対応を特集し、企業に求められる具体的な準備について解説いたします。 ご一読いただければ幸いです。 

2025年問題に備えよ!65歳継続雇用制度の完全義務化

2025年4月から、企業規模にかかわらず65歳までの雇用確保が完全義務化されます。
これは、2013年の高年齢者雇用安定法改正時に設けられた経過措置が2025年3月31日で終了することによるものです。

制度改正の重要ポイント

完全義務化の内容
企業は以下のいずれかの対応が必要となります:

  • 65歳までの定年引き上げ
  • 65歳までの継続雇用制度の導入
  • 定年制の廃止

現行制度からの主な変更点

  • 継続雇用制度の対象者限定が一切不可に
  • 希望者全員の65歳までの雇用確保が必須
  • 労使協定による対象者限定措置が完全廃止

社会的背景

労働力確保の必要性
少子高齢化による労働人口減少に対応するため、熟練した高齢者の活躍が不可欠となっています。特に中小企業では、ベテラン社員の技能継承が重要な課題となっています。

年金制度との関連
年金支給開始年齢の段階的な引き上げに伴い、60歳以降も安定した収入を確保できる環境整備が必要です。

企業に求められる対応

制度面の整備

  • 就業規則の改定
  • 継続雇用制度の明確化
  • 労働条件の見直し

人事制度の見直し

  • 賃金体系の再設計
  • 多様な勤務形態の整備
  • 評価制度の見直し

今後の課題

人件費管理

  • 職務や成果に基づく賃金制度への移行
  • 多様な勤務形態に応じた給与体系の整備

業務体制

  • 高齢者の能力を活かした職務設計
  • 技能承継の仕組みづくり
  • 世代間コミュニケーションの促進

詳細については、「2025年問題に備えよ!65歳継続雇用制度完全義務化の全容」をご確認ください。

【最新の雇用や労働関連のニュース】

大阪ガス、65歳定年制導入へ大幅な人事制度改革
2025年度から定年年齢を2年に1歳ずつ引き上げ、2033年度までに65歳定年制に移行します。55歳での役職定年を廃止し、入社時から定年まで同一制度を適用。原資確保のため洗替え給を導入し、等級数も14から11に削減して早期抜擢を可能にします。また、時代に即さない手当は廃止し、子育て世代への手当を拡充。年功要素を薄め、実力本位の人事制度を目指します。
ニュースソース: 労働新聞, 2024年12月10日

厚生年金「106万円の壁」撤廃へ
厚生労働省は、パートタイム労働者の厚生年金加入要件である「106万円の壁」を撤廃する方針を決定しました。これにより、新たに約200万人が加入対象となる見込みです。働き控えを防ぎ、より柔軟な就労を促進する狙いがあります。最低賃金の引き上げに伴い、必要性が薄れているとの判断から、2026年10月からの実施を目指します。
ニュースソース: NHK, 2024年12月10日

在職老齢年金制度の見直し案を提示
厚生労働省は、65歳以上の就労者の年金支給停止基準額を現行の50万円から最大71万円まで引き上げる案を示しました。高齢者の就業抑制を防ぐことが目的です。支給停止基準額を62万円とする案も検討されており、高齢者の就労意欲を促進し、人手不足対策としても期待されています。
ニュースソース: 労働新聞, 2024年12月3日

名古屋鉄道がグループ内副業制度を導入
所定労働時間の2割を上限として就業時間内のグループ会社での業務従事を認める制度を開始。副業手当を新設し、DX推進や繁忙期対応など、柔軟な人材活用を目指します。本業で得た知見を新規事業の立ち上げやDX推進に活かしたり、産育休のサポートを担うなど、グループ全体での人材の有効活用を図ります。
ニュースソース: 労働新聞, 2024年11月29日

パートタイム・有期雇用法の指導強化へ
千葉労働局は報告徴収件数を前年度比1.5倍の425件に増やし、法令遵守の指導を強化。特に相談窓口の社内周知不足が課題として浮上しています。上半期は197事業所に実施し、9割以上に指導を実施。他の法律に基づく報告徴収の際にも点検票を配布し、法の遵守意識啓発を図っています。
ニュースソース: 労働新聞, 2024年12月3日

転倒災害防止に向けた取り組み強化
福岡労働局は転倒災害防止に向け、2024年1月から労働者死傷病報告の電子申請義務化に伴い、転倒要因の詳細分析を開始します。特に事務職の転倒災害が増加傾向にあります。
ニュースソース: 労働新聞, 2024年12月10日

外国籍の子通う保育園、特区で母国の資格容認へ
保育士不足対策として、特区において外国の保育士資格保持者の採用を認める方針が示されました。保育現場の人材確保策として期待されています。
ニュースソース: 朝日新聞, 2024年12月13日

春闘での賃上げ要請
政労使会議で石破首相が来年の春闘での大幅な賃上げ実現に向けて協力を要請。連合は25年春闘でベアと定昇を合わせて5%以上の賃上げを目指す方針です。
ニュースソース: ロイター, 2024年11月26日

重要判例

労災保険上の労働者性の判断基準 – 横浜南労基署長事件

事案の概要
自己所有のトラックを会社に持ち込み、運送業務に従事していた運転手が、荷積み作業中に転倒して負傷し、労災保険給付を申請したところ、労働者性が否定され不支給処分を受けた事案です。

 判決のポイント
最高裁は、労災保険法上の労働者は労働基準法上の労働者と同一であるとしたうえで、以下の事情から労働者性を否定しました:

  • 業務指示は運送物品・運送先・納入時刻に限定
  • 時間的・場所的拘束が一般従業員より緩やか
  • トラックの購入費用やガソリン代等を自己負担
  • 報酬は出来高制で源泉徴収なし

実務への影響
本判決により、労働者性の判断において以下の点が重視されることになりました

  • 指揮監督下での労務提供の有無
  • 時間的・場所的拘束の程度
  • 報酬の性格
  • 事業者性の有無

今日的意義
近年のギグワーカー等の就労形態の多様化に伴い、労働者性の判断基準として重要な先例となっています。企業は業務委託契約を締結する際、本判決の基準を踏まえた適切な契約内容の設計が求められます。

 詳しくは「労災保険上の労働者【横浜南労基署長事件】」もご確認ください。


上本町社会保険労務士事務所では、人事労務に関する最新情報や実務に役立つ情報を定期的に発信しています。
 詳しくは当事務所ウェブサイトの記事一覧ページをご覧ください。
また、個別のご相談も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。 
上本町社会保険労務士事務所

上部へスクロール