実践的セキュリティ対策
2024年、働き方改革とテレワークの普及により、情報セキュリティの在り方が大きく変化しています。特に人事・労務部門では、在宅勤務中の情報漏えい事故が前年比32%増加するなど、新たな課題が浮上しています。
現場からの課題
多くの人事・労務担当者から、以下のような具体的な悩みが寄せられています
「情報セキュリティ対策の優先順位が分からない」
「クラウドサービスを安全に使いこなせていない」
「テレワーク時の情報管理に不安を感じる」
本記事では、これらの課題に対する具体的な解決策を、以下の3つの観点から解説します
✓ コストを抑えた基本的なセキュリティ対策
✓ 人事データの確実な保護方法
✓ テレワーク時の安全な運用ルール
特に注目いただきたいポイント
- 無料・低コストで導入できる対策
- クラウドサービス選定の具体的基準
- すぐに実践できるテレワークのルール
ここで紹介する対策は、いずれも限られた予算と人員で実施可能な内容です。まずは自社の状況に合わせて、優先度の高いものから段階的に導入していきましょう。
基本的なセキュリティ対策
IPAの情報セキュリティ5か条の実践
- OSとソフトウェアの更新
- Windows Updateを自動更新に設定
- Adobe ReaderやGoogle Chromeなど主要ソフトの更新確認
- 更新プログラムの適用状況を月1回確認
- ウイルス対策ソフトの導入
- 信頼できるウイルス対策ソフトの選定
- 定義ファイルの自動更新設定
- 週1回の完全スキャン実施
- パスワードの適切な管理
- 12文字以上の強固なパスワード設定
- 部署や役職に応じたアクセス権限の設定
- パスワード使い回しの禁止
マルウェア対策の具体的手順
予防対策:
- 不審なメールの添付ファイルを開かない
- 業務に不要なサイトへのアクセス制限
- USBメモリの利用制限と事前スキャン
感染時の対応手順:
- ネットワークから即時切断
- システム管理者への報告
- 証拠保全(スクリーンショット等)
- 専門家による駆除作業
パスワード管理とMFA導入
パスワード管理:
- パスワード管理ツールの導入
- 定期的なパスワード変更(90日ごと)
- パスワードポリシーの文書化
多要素認証(MFA)の実装:
- 重要システムへのMFA必須化
- スマートフォンアプリの認証機能活用
- ハードウェアキーの導入検討
これらの基本的な対策を確実に実施することで、多くのサイバー攻撃から組織を守ることができます。特に人事・労務部門では、従業員情報や給与データなど重要な情報を扱うため、これらの対策は必須となります。
以下の2つのセクションを追加することを提案します:
トラブル時の対応フロー
【情報漏洩が疑われる場合】
- 初動対応(発覚後24時間以内)
・システム管理者への即時報告
・該当データへのアクセス遮断
・ログの保全(アクセス記録、操作履歴) - 状況確認(24-48時間以内)
・漏洩した情報の特定と範囲確認
・影響を受ける関係者のリストアップ
・原因の特定と証拠の収集 - 報告と通知(48-72時間以内)
・経営層への報告
・個人情報保護委員会への報告判断
・影響を受ける本人への通知準備 - 再発防止
・原因分析と対策立案
・社内規定の見直し
・従業員への研修実施
【システム障害発生時】
- 初期対応
・システム管理者への連絡
・影響範囲の特定
・応急処置の実施 - 業務継続対応
・代替手段の確保
・関係部署への連絡
・復旧見込みの確認
セキュリティ対策チェックリスト
【日次確認項目】
□ ウイルス対策ソフトの稼働状況
□ 重要データのバックアップ完了
□ 不審メールの報告確認
【週次確認項目】
□ システムアップデートの状況
□ アクセスログの確認
□ バックアップデータの整合性確認
【月次確認項目】
□ セキュリティパッチの適用状況
□ アクセス権限の棚卸し
□ インシデント報告の集計・分析
□ セキュリティ研修の実施状況
【四半期確認項目】
□ セキュリティポリシーの見直し
□ 委託先の管理状況確認
□ BCP(事業継続計画)の更新
□ セキュリティ監査の実施
これらの項目を「基本的なセキュリティ対策」のセクションの後に追加することで、より実践的な内容となります。
データ保護の実践
バックアップの具体的方法
ルールの実践:
- 3つのデータコピーを作成
- 本番データ
- 外付けHDDへのバックアップ
- クラウドストレージへのバックアップ
- 2種類の異なる媒体に保存
- ローカルストレージ
- クラウドストレージ
- 1つは必ずオフサイトに保管
バックアップスケジュール:
- 重要データ:毎日自動バックアップ
- 通常データ:週1回定期バックアップ
- システム全体:月1回フルバックアップ
クラウドストレージの安全な利用
選定のポイント:
- 情報セキュリティ認証(ISO27001等)の取得確認
- データ暗号化機能の有無
- アクセス権限の細かな設定が可能か
利用時の注意点:
- フォルダごとのアクセス権限設定
- 共有リンクの有効期限設定
- ログイン履歴の定期確認
重要データの暗号化対策
対象となる重要データ:
- 個人情報ファイル
- 給与データ
- マイナンバー関連書類
- 人事評価情報
暗号化の具体的方法:
- フォルダ単位の暗号化
- ファイル単位のパスワード設定
- 外部送信時の暗号化圧縮
運用ルール:
- 暗号化キーの安全な管理方法
- 復号時の承認フロー
- 定期的な暗号化状況の確認
これらの対策により、データ漏洩リスクを最小限に抑えることができます。特に人事・労務部門では、従業員の個人情報を扱うため、確実な実施が求められます。
リモートワーク時の対策
VPNの適切な利用方法
基本設定:
- 強固な暗号化方式の選択(IPsec/IKEv2推奨)
- アクセス制限の設定(IPアドレス制限)
- 接続ログの取得と定期確認
利用ルール:
- 社用PCからの接続のみ許可
- 公衆Wi-Fiからの接続禁止
- 定期的なパスワード変更(90日ごと)
モバイルデバイス管理(MDM)の基礎
必須設定項目:
- リモートワイプ機能の有効化
- スクリーンロックの強制設定
- アプリケーションの導入制限
セキュリティポリシー:
- 私用端末の業務利用(BYOD)規定
- 紛失・盗難時の報告手順
- データバックアップのルール
テレワークセキュリティガイドライン
作業環境の整備:
- 覗き見防止対策(画面の位置)
- 書類の適切な保管・廃棄
- 家族との情報隔離
具体的なルール:
- オンライン会議での注意事項
- バーチャル背景の利用
- 参加者確認の徹底
- 画面共有時の注意点
- 機密情報の取り扱い
- 印刷制限
- 写真撮影禁止
- データの持ち出し制限
これらの対策により、リモートワーク環境でも安全な業務遂行が可能となります。特に人事・労務情報は機密性が高いため、より厳格な運用が求められます。

