健康経営の評価と就業規則の見直し
前回までは健康診断と就業規則の関係について解説しました。最終回となる今回は、健康経営の評価方法と就業規則の定期的な見直しについて解説します。健康経営を持続的に発展させるためには、施策の効果を適切に評価し、その結果に基づいて就業規則を見直していくことが重要です。
健康経営施策の効果を評価するための指標
健康経営の取り組みを持続的に発展させるためには、その効果を適切に評価することが不可欠です。特に中小企業では、限られた経営資源を効果的に活用するために、適切な評価指標の設定と測定が重要になります。ここでは、中小企業でも実践可能な健康経営評価のための指標と測定方法について解説します。
1. 健康経営評価の基本的な指標
健康経営の効果を評価するための基本的な指標は、以下の5つのカテゴリーに分類できます
① 従業員の健康状態に関する指標
- 定期健康診断受診率(目標:100%)
- 有所見率(血圧・血糖・脂質等の項目別)
- 要再検査・要精密検査の受診率
- ストレスチェック実施率と高ストレス者の割合
- 喫煙率
- BMI値の分布
② 勤怠・生産性に関する指標
- 病気休暇・欠勤率
- 休職者数・休職率
- 時間外労働時間
- 年次有給休暇取得率
- プレゼンティーイズム(出勤はしているが生産性が低下している状態)の状況
③ 組織活性度に関する指標
- 従業員満足度
- 職場のコミュニケーション状況
- 従業員エンゲージメント
- 離職率
④ 健康経営施策の実施状況に関する指標
- 健康増進プログラムへの参加率
- 保健指導実施率
- 健康関連セミナーの開催回数と参加率
- 健康経営関連の予算執行状況
⑤ 経営的な効果に関する指標
- 医療費・健康保険料の推移
- 採用活動における応募者数・質の変化
- 企業イメージの向上(外部評価)
- 健康経営優良法人認定の取得状況
2. 中小企業向けの実践的な評価方法
中小企業では、すべての指標を一度に測定・評価することは難しい場合があります。そこで、段階的に評価体制を構築することをお勧めします
ステップ1:基本指標の測定(初年度)
- 健康診断受診率
- 有所見率の把握
- 病気休暇・欠勤率
- 時間外労働時間
- 年次有給休暇取得率
これらの指標は、既存の人事労務管理データから比較的容易に収集できます。まずはこれらの基本指標を定期的に測定し、現状把握と課題抽出を行いましょう。
ステップ2:施策効果の測定(2年目以降)
- 健康増進プログラムの参加率と効果
- ストレスチェック結果の経年変化
- 要再検査・要精密検査の受診率向上策の効果
- 従業員満足度調査の実施
基本指標の測定体制が整ったら、具体的な健康経営施策の効果を測定するための指標を追加していきます。
ステップ3:経営的効果の測定(3年目以降)
- 医療費・健康保険料の分析
- 採用活動への影響分析
- 企業イメージの変化
- 生産性指標との相関分析
健康経営の取り組みが定着してきたら、経営的な効果を測定するための指標を導入し、投資対効果(ROI)の観点からも評価を行います。
3. 効果的な指標設定のポイント
健康経営の評価指標を設定する際は、以下のポイントに留意することが重要です
① SMART原則に基づく指標設定
- Specific(具体的):「健康診断受診率100%」など具体的な数値目標
- Measurable(測定可能):定量的に測定できる指標
- Achievable(達成可能):現実的に達成可能なレベル
- Relevant(関連性):企業の健康課題に関連した指標
- Time-bound(期限付き):「今年度中に」など期限を設定
② 短期・中期・長期の視点
- 短期(3〜6ヶ月):健康診断受診率、健康セミナー参加率など
- 中期(1〜2年):有所見率の改善、ストレスチェック結果の改善など
- 長期(3年以上):医療費削減、生産性向上、企業イメージ向上など
③ 定量的指標と定性的指標のバランス
- 定量的指標:数値で測定できる客観的な指標
- 定性的指標:従業員の満足度や意識変化など主観的な指標
両方の指標をバランスよく設定することで、多角的な評価が可能になります。
4. 中小企業における評価の実践例
A社(製造業・従業員30名)の事例
- 基本指標:健康診断受診率、有所見率、時間外労働時間
- 重点課題:高血圧・肥満者の多さ
- 評価方法:四半期ごとに産業医と連携して評価会議を実施
- 成果:3年間で高血圧該当者が30%減少、病気欠勤日数が20%減少
B社(サービス業・従業員15名)の事例
- 基本指標:年次有給休暇取得率、ストレスチェック結果
- 重点課題:メンタルヘルス不調による離職防止
- 評価方法:月1回の全体会議で健康経営の進捗を共有
- 成果:年次有給休暇取得率が40%から75%に向上、離職率が半減
5. 評価結果の活用方法
評価結果を効果的に活用するためのポイントは以下の通りです
① PDCAサイクルの実践
- Plan(計画):評価結果に基づく次年度の健康経営計画の策定
- Do(実行):計画に基づく施策の実施
- Check(評価):指標による効果測定
- Act(改善):評価結果に基づく施策の見直し
② 経営層への報告
- 数値データのビジュアル化(グラフ・チャート)
- 経営指標との関連性の明示
- 投資対効果(ROI)の試算
③ 従業員へのフィードバック
- 評価結果の透明な共有
- 改善点と今後の取り組みの説明
- 成功事例の表彰・共有
④ 外部への発信
- 健康経営優良法人認定の申請資料として活用
- 採用活動や取引先へのアピールポイントとして活用
- 地域や業界内での好事例として共有
健康経営の評価は、単なる数値の測定ではなく、企業の持続的成長と従業員の健康増進のための重要なプロセスです。特に中小企業では、自社の状況に合った指標を選定し、無理のない範囲で段階的に評価体制を構築していくことが成功の鍵となります。
評価結果を就業規則の見直しや健康経営施策の改善に活かすことで、より効果的な健康経営の実現につながります。
定期的な就業規則の見直しと改善の重要性
健康経営を効果的に推進するためには、就業規則を定期的に見直し、改善していくことが極めて重要です。就業規則は企業の基本ルールを定めるものであり、健康経営の理念や具体的な取り組みを反映させることで、企業全体に健康重視の文化を浸透させる基盤となります。
1. 就業規則見直しの必要性
就業規則の定期的な見直しが必要な理由は、主に以下の4つに集約されます:
① 法令改正への対応
労働関連法規は頻繁に改正されます。特に健康経営に関連する法令(労働安全衛生法、労働基準法など)の改正に対応するためには、就業規則の定期的な見直しが不可欠です。例えば、近年では以下のような法改正がありました
- 働き方改革関連法による時間外労働の上限規制
- パワーハラスメント防止措置の義務化
- 高齢者雇用安定法の改正
これらの法改正に対応していない就業規則は、法的リスクを抱えることになります。
② 社会情勢の変化への対応
働き方や健康に対する社会的価値観は常に変化しています。特に近年は以下のような変化が顕著です:
- テレワークなど多様な働き方の普及
- 健康意識の高まり
- ワークライフバランスの重視
就業規則がこうした社会情勢の変化に対応していなければ、従業員の期待とのギャップが生じ、モチベーションの低下や離職につながる可能性があります。
③ 企業の成長・変化への対応
企業自体も成長し、変化していきます。従業員数の増加、事業内容の変更、組織構造の変化などに伴い、就業規則も見直す必要があります。特に中小企業では、創業期の簡素な就業規則から、成長に合わせて徐々に充実させていくことが重要です。
④ 健康経営施策の進化への対応
健康経営の取り組みは、評価結果に基づいて常に進化していくべきものです。新たな健康施策の導入や既存施策の改善に合わせて、就業規則も更新していく必要があります。
2. 就業規則見直しの適切なタイミング
就業規則は、原則として年に1回、最低でも2年に1回は見直すべきです。特に以下のタイミングでは、積極的な見直しが必要です
① 法令改正時
- 労働関連法規の改正があった場合は、施行日に合わせて就業規則を改定する必要があります。
② 健康経営評価実施後
- 健康経営の評価結果が出た後は、その結果を踏まえて就業規則を見直すことが効果的です。
③ 従業員からのフィードバック収集後
- 従業員アンケートや意見交換会などで集めたフィードバックを基に、就業規則を見直すことで、実態に即した改善が可能になります。
④ 事業計画策定時
- 新年度の事業計画策定時に合わせて就業規則を見直すことで、経営戦略と健康経営の一体的な推進が図れます。
3. 健康経営の観点から見直すべき就業規則の項目
健康経営を推進する観点から、特に以下の項目について定期的な見直しが重要です
① 基本理念・目的条項
- 健康経営の理念や会社の健康方針を明確に反映しているか
- 従業員の健康を経営の重要課題として位置づけているか
② 労働時間・休憩・休日に関する規定
- 長時間労働の抑制策が適切に規定されているか
- 勤務間インターバル制度を導入しているか
- 柔軟な働き方(フレックスタイム制、時差出勤等)が規定されているか
③ 休暇制度に関する規定
- 年次有給休暇の取得促進策が規定されているか
- リフレッシュ休暇、健康管理休暇などの特別休暇制度が整備されているか
- 病気休暇・療養休暇の制度が適切に規定されているか
④ 健康管理に関する規定
- 健康診断の実施と事後措置が明確に規定されているか
- ストレスチェックの実施と面接指導が規定されているか
- 保健指導の実施方法が明確になっているか
⑤ メンタルヘルスに関する規定
- メンタルヘルス不調者への対応が明確に規定されているか
- 復職支援プログラムが整備されているか
- ハラスメント防止措置が適切に規定されているか
⑥ 健康増進活動に関する規定
- 会社が実施する健康増進活動の内容と参加方法が明確か
- 健康増進活動への参加に対するインセンティブが規定されているか
4. 効果的な就業規則見直しのプロセス
就業規則の見直しを効果的に行うためのプロセスは以下の通りです
① 現状分析と課題の洗い出し
- 現行の就業規則と実態のギャップを分析
- 健康経営の評価結果から見えてきた課題を整理
- 従業員からのフィードバックを収集・分析
② 改定案の作成
- 課題解決のための具体的な改定案を作成
- 法令との整合性を確認
- 専門家(社会保険労務士等)のアドバイスを受ける
③ 従業員の意見聴取
- 従業員代表の意見を聴取(労働基準法第90条の要件)
- 必要に応じて全従業員からの意見も収集
- 健康経営推進委員会等での議論
④ 改定内容の周知
- 改定内容を従業員に十分に周知
- 特に重要な変更点については説明会を開催
- 社内イントラネットや掲示板を活用した継続的な周知
⑤ 労働基準監督署への届出
- 改定した就業規則を労働基準監督署に届出(常時10人以上の労働者を使用する場合)
5. 中小企業における就業規則見直しの実践ポイント
中小企業が健康経営の観点から就業規則を効果的に見直すためのポイントは以下の通りです
① 段階的なアプローチ
- すべての項目を一度に見直すのではなく、優先順位をつけて段階的に改定を進める
- まずは法令遵守に関わる部分から着手し、徐々に健康経営の理念や具体的施策を反映させていく
② 外部専門家の活用
- 社会保険労務士など専門家のサポートを受ける
- 地域の商工会議所や中小企業団体の相談窓口を活用する
- 同業他社の事例を参考にする
③ 従業員参加型の見直し
- 従業員の意見を積極的に取り入れる仕組みを作る
- 健康経営推進チームを結成し、就業規則見直しにも関与させる
- 現場の実態を反映した実効性のある規定を心がける
④ シンプルで分かりやすい表現
- 法律用語や難解な表現を避け、誰にでも理解できる平易な表現を心がける
- 図表やイラストを活用して視覚的に分かりやすくする
- 重要なポイントは別途解説資料を作成する
⑤ 定期的な見直しの仕組み化
- 年1回など定期的な見直しのタイミングを就業規則自体に規定する
- 健康経営評価のサイクルと就業規則見直しのサイクルを連動させる
- 見直し担当者を明確にし、責任を持って取り組む体制を整える
就業規則の定期的な見直しは、単なる形式的な作業ではなく、健康経営を実効性のあるものにするための重要なプロセスです。特に中小企業では、経営者の健康経営に対する理解と熱意が就業規則に反映されることで、より効果的な健康経営の実践につながります。
就業規則の見直し後も、その内容を従業員に周知し、実際の運用状況を定期的に確認・改善していくことが、健康経営の成功には不可欠です。
フィードバックの収集方法とその活用
健康経営の評価と就業規則の見直しを効果的に行うためには、従業員からのフィードバックを適切に収集し、活用することが重要です。特に中小企業では、従業員との距離が近いという強みを活かし、より実態に即したフィードバック収集が可能です。ここでは、フィードバックの収集方法とその効果的な活用方法について解説します。
1. フィードバック収集の方法
従業員からのフィードバックを収集する主な方法には、以下のようなものがあります
① アンケート調査
定期健康アンケート
- 健康状態や生活習慣に関する自己評価
- 健康経営施策への参加状況と満足度
- 職場環境に関する評価
就業規則に関するアンケート
- 現行の就業規則の理解度
- 就業規則と実態のギャップに関する意見
- 改善希望事項
満足度・エンゲージメント調査
- 職場環境や会社の健康支援への満足度
- 仕事へのモチベーションや帰属意識
- ワークライフバランスの状況
アンケート実施のポイント
- 匿名性を確保し、率直な意見を引き出す
- 選択式と記述式を組み合わせて設計する
- 定期的(年1〜2回)に実施し、経年変化を把握する
② 個別面談・ヒアリング
管理職による定期面談
- 1on1ミーティングでの健康状態の確認
- キャリアプランと健康管理の両立に関する相談
- 就業規則に関する疑問や要望の聴取
産業医・保健師による健康相談
- 健康診断結果に基づく個別相談
- メンタルヘルスに関する相談
- 生活習慣改善のためのアドバイス
人事担当者による就業規則相談
- 就業規則の解釈や適用に関する質問対応
- 制度利用に関する相談
- 改善提案の受付
面談・ヒアリング実施のポイント
- 話しやすい環境・雰囲気づくりを心がける
- 傾聴の姿勢を大切にし、批判や否定をしない
- 定期的に実施し、信頼関係を構築する
③ 意見箱・提案制度
匿名意見箱の設置
- 物理的な意見箱の設置
- デジタル意見箱(専用メールアドレス、フォーム等)の設置
- 定期的な回収と対応
健康経営提案制度
- 健康増進のためのアイデア募集
- 就業規則改善のための提案受付
- 優れた提案の表彰・実施
意見箱・提案制度のポイント
- 匿名での投稿を可能にする
- 定期的に内容を確認し、放置しない
- 提案に対するフィードバックを必ず行う
④ グループディスカッション・ワークショップ
健康経営ワークショップ
- 健康課題の洗い出しと解決策の検討
- 就業規則の改善点に関するブレインストーミング
- 部門横断的な意見交換
フォーカスグループインタビュー
- 特定のテーマに関する少人数での深掘り議論
- 年齢層や部門ごとの課題把握
- 具体的な改善案の検討
グループディスカッション実施のポイント
- ファシリテーターを置き、全員が発言できるよう配慮する
- 批判ではなく建設的な意見交換を促す
- 議論の結果を可視化し、共有する
2. 中小企業向けフィードバック収集のポイント
中小企業が効果的にフィードバックを収集するためのポイントは以下の通りです
① 簡素で負担の少ない方法の選択
- 短時間で回答できるシンプルなアンケート設計
- 既存のミーティングを活用した意見収集
- デジタルツール(無料のアンケートフォーム等)の活用
② 匿名性と安心感の確保
- 匿名でのフィードバック機会の提供
- 意見表明による不利益がないことの明確な保証
- 外部機関を活用した第三者視点での収集
③ 経営者の積極的関与
- 経営者自身による従業員との対話機会の創出
- フィードバックの重要性に関するメッセージ発信
- 収集した意見への対応を率先して示す
④ インセンティブの活用
- フィードバック提供者への小さな特典(商品券等)
- 優れた提案の表彰と実施
- 参加率向上のための工夫(回答者抽選会等)
3. フィードバックの分析と活用方法
収集したフィードバックは、以下のステップで分析し、活用することが効果的です
① フィードバックの整理と分析
カテゴリー分類
- 健康課題に関するフィードバック
- 就業規則に関するフィードバック
- 職場環境に関するフィードバック
- その他の提案・要望
優先順位付け
- 緊急性の高い課題の特定
- 多くの従業員から挙げられた共通課題の抽出
- 実現可能性を考慮した優先順位付け
傾向分析
- 部門・年齢層・性別等による傾向の把握
- 前回調査との比較による変化の分析
- 健康経営施策の効果検証
② 健康経営施策への反映
既存施策の改善
- フィードバックに基づく施策の見直し
- 参加率向上のための工夫
- 効果が低い施策の廃止または再設計
新規施策の立案
- 従業員のニーズに基づく新たな健康支援策の検討
- 従業員提案を活かした独自の健康増進プログラムの開発
- 外部リソースの活用方法の見直し
実施計画の策定
- 具体的な実施スケジュールの作成
- 担当者・責任者の明確化
- 必要な予算・リソースの確保
③ 就業規則の見直しへの活用
規定の追加・修正
- フィードバックに基づく新たな健康支援制度の規定化
- 実態と乖離している規定の修正
- 分かりにくい表現の改善
運用ルールの明確化
- 制度利用の手続きや基準の明確化
- 事例集や解説資料の作成
- Q&A集の整備
周知方法の改善
- 就業規則の効果的な周知方法の検討
- 重要ポイントの強調方法
- 定期的な研修・説明会の実施
④ フィードバック結果の共有
経営層への報告
- フィードバック結果の要約と重要ポイントの報告
- 改善提案と必要なリソースの提示
- 経営戦略との連携ポイントの明確化
従業員への共有
- 収集したフィードバックの概要共有
- 対応策・改善計画の説明
- 「声が反映された」という実感の醸成
実施状況の定期報告
- 改善策の実施状況の定期的な報告
- 成果の可視化と共有
- 継続的な取り組みの重要性の強調
4. フィードバック活用の成功事例
C社(小売業・従業員25名)の事例
- 収集方法:四半期ごとの健康アンケートと月1回の「健康茶話会」
- 主な課題:立ち仕事による腰痛・足の疲れ
- 対応策:就業規則に「疲労回復休憩」(2時間ごとに10分)を規定
- 成果:腰痛訴え30%減少、接客品質向上
D社(IT企業・従業員18名)の事例
- 収集方法:匿名デジタル意見箱と年2回の健康経営ワークショップ
- 主な課題:長時間のPC作業による目の疲れ・肩こり
- 対応策:就業規則に「リフレッシュタイム」(1時間ごとに5分)と「フレックスタイム制」を導入
- 成果:残業時間20%減少、従業員満足度15%向上
5. 効果的なフィードバックサイクルの構築
フィードバックを一度限りのものではなく、継続的な改善サイクルとして機能させることが重要です
① 定期的な収集スケジュールの確立
- 年間計画の中にフィードバック収集の機会を組み込む
- 健康経営施策の実施前後でフィードバックを収集し、効果を測定
- 就業規則改定の前後でも意見を収集
② 迅速な対応と報告
- 収集したフィードバックへの対応状況を定期的に報告
- 小さな改善でも迅速に実施し、「変化」を実感させる
- 対応が難しい意見についても、理由を説明
③ PDCAサイクルとの連動
- 健康経営のPDCAサイクルにフィードバック収集を組み込む
- 就業規則見直しのプロセスにフィードバック活用を明確に位置づける
- 経営計画策定時にもフィードバック結果を活用
フィードバックの収集と活用は、健康経営を従業員の実態に即した効果的なものにするための重要なプロセスです。特に中小企業では、従業員との距離の近さを活かし、より直接的かつ率直なフィードバックを得ることができます。
収集したフィードバックを健康経営施策の改善と就業規則の見直しに活かすことで、従業員の健康と企業の成長を両立させる健全な組織文化を築いていくことができるでしょう。
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