勤務中に体調不良で倒れた社員。労災と安全配慮義務の関係は?

ご相談内容【想定相談事例】

大阪市内で製造業を営んでいます。先日、工場内で作業中に社員が突然倒れて救急搬送されました。診断は過労による体調不良で、数日の入院が必要とのことです。

社員からは「残業が多すぎた」「会社の責任だ」という声も聞こえてきます。

これは労災になるのでしょうか?また、会社として安全配慮義務違反を問われる可能性はありますか?今後、同じようなことが起きないためには、どのような対策が必要でしょうか?

お悩み

  • 体調不良で倒れた場合も労災になる?
  • 会社の責任はどこまで?
  • 安全配慮義務違反とは?

結論:業務が原因なら労災になります

結論から申し上げますと、勤務中に体調不良で倒れた場合、業務が原因であれば労災として認定される可能性があります。

労災認定には以下の2つの要件が必要です。

① 業務遂行性:仕事中に発症したこと
② 業務起因性:業務が原因で発症したこと

長時間労働による過労、高温環境での作業、過度なストレスなどが原因で体調を崩した場合、これらの要件を満たすため、労災認定される可能性が高くなります。

また、会社には労働者の健康と安全を守る「安全配慮義務」があります。適切な健康管理や労働環境の整備を怠っていた場合、安全配慮義務違反として損害賠償を請求されるリスクがあります。

体調不良が労災として認定される条件

労災認定の2つの要件

業務遂行性(仕事中の発症)

会社の管理下にある状態で体調不良が発生したことが必要です。

  • 作業中
  • 事業所内での休憩中
  • 作業場までの移動中

これらの場合、業務遂行性が認められます。

業務起因性(業務が原因)

業務が原因で体調不良になったことが必要です。

業務起因性が認められやすいケース

  • 長時間労働(月80時間以上の残業など)
  • 高温・多湿な環境での作業
  • 有害物質への曝露
  • 過度な精神的ストレス
  • 不規則な勤務(深夜勤務、交代制勤務)

これらの条件が重なり、それが原因で体調を崩したと判断されれば、業務起因性が認められます。

会社の責任(安全配慮義務)

安全配慮義務とは

会社には、労働者が安全かつ健康に働けるように配慮する法的義務があります(労働契約法第5条)。

健康管理に関する具体的な義務

  • 労働時間の適正管理
  • 長時間労働者への医師面接指導
  • 健康診断の実施
  • 過重労働の防止
  • 適切な休憩時間の確保
  • 作業環境の管理(温度・湿度・換気など)
  • メンタルヘルス対策

これらを怠った場合、安全配慮義務違反として損害賠償責任を負う可能性があります。

安全配慮義務違反が問われるケース

以下のような場合、安全配慮義務違反とされるリスが高まります。

  • 過労死ライン(月80時間)を超える残業を放置
  • 健康診断の未実施、または結果の放置
  • 社員の体調不良の訴えを無視
  • 劣悪な作業環境の放置(高温・換気不良など)
  • 適切な休憩時間を与えない

損害賠償額は数千万円に及ぶこともあり、企業経営に大きな影響を与えます。

よくある質問

Q1:社員が「大丈夫」と言っても会社の責任は?

A:はい、責任は免除されません。

本人の同意があっても、会社は安全配慮義務を果たす必要があります。

Q2:過労死ラインとは?

A:月80時間以上の時間外労働を指します。

これを超える残業が続くと、健康障害のリスクが高まります。

Q3:労災と認定されなくても会社の責任は?

A:はい、あります。

労災認定されなくても、安全配慮義務違反として民事上の損害賠償責任を負う可能性があります。

まとめ

勤務中の体調不良は、
業務が原因であれば労災として認定される可能性があります。

  • 業務遂行性と業務起因性が要件
  • 会社には安全配慮義務がある
  • 長時間労働や劣悪な環境は違反リスク
  • 適切な健康管理でリスクを減らせる

従業員の健康を守ることは、
会社を守ることにもつながります。

上本町社会保険労務士事務所では、
安全配慮義務を果たすための具体的な対策をサポートしています。

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そんなお悩みがあれば、まずはお気軽にご相談ください。

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