ご相談内容【想定相談事例】
大阪市内で小売業を営んでいます。従業員が12名になり、就業規則を作成することになりました。
厚生労働省の「モデル就業規則」をダウンロードして見てみましたが、そのまま使っても問題ないのでしょうか?
知人の経営者から「ひな形をそのまま使うと後で困ることがある」と聞き、不安になっています。
どこをカスタマイズすべきなのか、具体的に教えてください。
お悩み
- ひな形をそのまま使っても大丈夫?
- どこをカスタマイズすべき?
- 変えてはいけない部分はある?
- 自社に合った就業規則にするには?
結論:ひな形はカスタマイズが必須です
結論から申し上げますと、厚生労働省のモデル就業規則などのひな形は、そのまま使ってはいけません。
ひな形は「最低限の基本項目」を網羅した汎用的な内容です。
しかし、会社ごとに業種、規模、勤務形態、給与体系が異なります。
ひな形をそのまま使うと、
- 自社の実態と合わない
- トラブル時に対応できない
- 法改正に対応していない
といった問題が起きる可能性があります。
ひな形をそのまま使うリスク
自社の実態と合わない
ひな形は一般的な内容なので、自社特有のルールが反映されていません。
例:
- シフト制を採用しているのに、固定勤務時間の記載しかない
- 歩合給があるのに、記載がない
- テレワークを導入しているのに、規定がない
実態と合わない就業規則は、従業員とのトラブル時に役に立ちません。
古い法律のまま
ネット上で公開されているひな形は、作成時期が古く、最新の法改正に対応していない場合があります。
法律は毎年のように改正されるため、古いひな形をそのまま使うと、法律違反になるリスクがあります。
例:
- 有給休暇の年5日取得義務(2019年施行)
- 同一労働同一賃金(2020年施行)
- 育児介護休業法の改正(2022年施行)
トラブル時に対応できない
ひな形は基本項目のみで、トラブル対応の規定が不十分です。
例:
- 無断欠勤が続いた場合の対応
- メンタル不調での休職・復職ルール
- セクハラ・パワハラへの対応
具体的なルールがないと、問題が起きた時に「どう対応すればいいのか」が分からず、混乱します。
よくある失敗例
失敗例①:他社の就業規則をそのままコピー
同業他社の就業規則を入手し、社名だけ変えて使うケースです。
リスク:
- 他社の実態と自社の実態は異なる
- 法的根拠がない独自ルールが含まれている可能性
- トラブル時に説明できない
失敗例②:ひな形を理解せずに使用
内容を確認せず、ひな形をそのまま提出するケースです。
リスク:
- 自社にない制度(退職金など)が記載されている
- 実態と合わない労働時間が記載されている
- 従業員から質問されても答えられない
失敗例③:古いひな形を使い続けている
数年前に作成した就業規則を、そのまま使い続けるケースです。
リスク:
- 法改正に対応していない
- 新しい働き方(テレワークなど)に対応していない
- 労働基準監督署の調査で指摘される
よくある質問
Q1:ひな形の内容を全部変えないとダメ?
A:いいえ、すべてを変える必要はありません。
基本的な部分(労働時間、賃金、退職など)は自社に合わせて修正し、それ以外の一般的な内容はそのままでも問題ありません。
Q2:どのひな形を使えばいい?
A:厚生労働省の「モデル就業規則」が最も信頼できます。
ネット上の無料ひな形は、作成時期や法的根拠が不明なものもあるため注意が必要です。
Q3:カスタマイズは自分でできる?
A:基本的な修正は可能ですが、法律知識が必要です。
不安がある場合は、社会保険労務士などの専門家に相談することをお勧めします。
就業規則のひな形は便利なツールですが、
そのまま使ってはいけません。
- 自社の実態に合わせてカスタマイズする
- 法律で定められた基準は守る
- 古いひな形は使わない
- 不安な場合は専門家に相談する
これらのポイントを押さえて、
自社に合った「使える就業規則」を作成しましょう。
上本町社会保険労務士事務所では、
ひな形のチェックから、オリジナルの就業規則作成までサポートしています。
「ひな形をカスタマイズしたいけど不安」
「自社に合った就業規則を作りたい」
そんなお悩みがあれば、まずはお気軽にご相談ください。

