制度概要
業務改善助成金は、中小企業や小規模事業者が事業場内の最低賃金を引き上げ、生産性向上に資する設備投資を行った場合、その費用の一部を国が助成する制度です。この制度は、企業が従業員の賃金を底上げし、職場の生産性を向上させる取り組みを支援することを目的としています。
重要なお知らせ:2025年度は予算が8.2億円から22億円へと2.5倍に増額され、制度が大幅に拡充されています。申請期間は2期制となっており、早期の賃上げ実現を促進しています。
2025年度の重要な変更点
申請期間の2期制導入
2025年度から2期制が導入され、申請期間が以下のように変更されています:
- 第1期:2025年4月14日~6月13日
- 第2期:2025年6月14日~最低賃金改定前日
助成率の大幅変更
2025年度から助成率が大幅に変更されました:
- 事業場内最低賃金1,000円未満:4/5(80%)
- 事業場内最低賃金1,000円以上:3/4(75%)
重要な変更:生産性要件による助成率の引き上げが廃止されました。
雇用期間要件の厳格化
2025年度から雇用期間要件が厳格化されています:
- 変更前:雇入れ後3ヶ月以上
- 変更後:雇入れ後6ヶ月以上
みなし大企業の除外
2025年度から新設された重要な変更として、大企業と密接な関係を持つ企業(みなし大企業)は対象外となりました。
助成金を利用するメリット
コスト削減: 設備投資や人材育成にかかる初期費用を大幅に削減できるため、企業は低コストで生産性向上のための施策を実施できます1
賃上げによる人材確保: 賃金引き上げにより、従業員のモチベーション向上や離職率の低下が期待でき、人材確保につながります
迅速な手続き: 申請書類が比較的簡素であり、助成金受領までの期間が短いことから、迅速な支援が可能です
予算拡充による採択率向上: 2025年度は予算が2.5倍に増額されており、より多くの企業が助成を受けられる可能性が高まっています
適用対象
対象となる事業者の条件
業務改善助成金を申請するためには、以下の条件を満たす必要があります:
- 中小企業・小規模事業者であること: 資本金または出資額、もしくは常時使用する労働者数に基づいて定義されます
- 雇用保険の適用事業所であること: 労働者が雇用保険に加入していることが必要です
- 事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内であること: 地域の最低賃金に近い水準で賃金を支払っていることが確認されます
- 解雇や賃金引き下げなどの不交付事由がないこと: 労働基準法に違反していないことが求められます
- みなし大企業でないこと: 大企業と密接な関係を持つ企業は対象外です(2025年度新設)
中小企業の定義
| 業種 | 資本金または出資総額 | 常時雇用する労働者数 |
|---|---|---|
| 小売業・飲食店 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
支援プランの概要
機器・設備導入支援
このプランでは、生産性向上を目的とした機器や設備の導入にかかる費用を助成します。2025年度からパソコン、タブレット、車両も特例対象となり、対象範囲が拡大されています。
具体的には、POSレジシステムやリフト付き特殊車両など、業務効率化に寄与する設備が対象となります。
経営コンサルティング支援
経営コンサルティング支援では、国家資格者による業務フローの見直しや経営改善計画の策定に関連するコンサルティング費用が助成されます2。
その他支援
その他支援には、店舗のリニューアルや人材育成・教育訓練など、生産性向上を目的とした幅広い取り組みが含まれます。
支給額
コース別支給条件と助成上限額
| コース区分 | 引き上げ額 | 引き上げる労働者数 | 助成上限額 |
|---|---|---|---|
| 30円コース | 30円以上 | 1人 | 30万円 |
| 2〜3人 | 50万円 | ||
| 4〜6人 | 70万円 | ||
| 7人以上 | 100万円 | ||
| 10人以上※ | 120万円 | ||
| 45円コース | 45円以上 | 1人 | 45万円 |
| 2〜3人 | 70万円 | ||
| 4〜6人 | 100万円 | ||
| 7人以上 | 150万円 | ||
| 10人以上※ | 180万円 | ||
| 60円コース | 60円以上 | 1人 | 60万円 |
| 2〜3人 | 90万円 | ||
| 4〜6人 | 150万円 | ||
| 7人以上 | 230万円 | ||
| 10人以上※ | 300万円 | ||
| 90円コース | 90円以上 | 1人 | 90万円 |
| 2〜3人 | 150万円 | ||
| 4〜6人 | 270万円 | ||
| 7人以上 | 450万円 | ||
| 10人以上※ | 600万円 |
※10人以上の上限区分は、特例事業者のみ対象となります。
重要な変更:2025年度から事業主単位での上限が600万円となりました。
助成率(2025年度改正)
2025年度から助成率が以下のように変更されました:
- 事業場内最低賃金1,000円未満:4/5(80%)
- 事業場内最低賃金1,000円以上:3/4(75%)
従来の生産性要件による助成率引き上げは廃止されています。
申請スケジュール
2025年度の申請期間
| 項目 | 第1期 | 第2期 |
|---|---|---|
| 申請受付期間 | 2025年4月14日~6月13日 | 2025年6月14日~最低賃金改定前日 |
| 事業完了期限 | 原則2026年1月31日 | 原則2026年1月31日 |
| (やむを得ない理由がある場合は2026年3月31日まで延長可能) | (やむを得ない理由がある場合は2026年3月31日まで延長可能) |
申請手続き
申請の流れ
- 業務改善計画の届出: 計画を作成し、労働局に提出します3
- 支給申請: 改善後、必要書類を揃えて支給申請を行います
必要書類
- 業務改善計画書
- 支給申請書
- 各種添付資料(賃金台帳、就業規則など)
電子申請
雇用関係助成金ポータルを通じてオンラインで申請が可能です。
注意すべきポイント
- 雇用期間要件:雇入れ後6ヶ月以上の労働者が対象(2025年度変更)
- みなし大企業:大企業と密接な関係を持つ企業は対象外(2025年度新設)
- 不交付事由(例: 賃金引き下げや不正受給歴など)に該当しないことが重要です
2025年度の特別措置
物価高騰要件特例
物価高騰等により利益率が前年同月比3%ポイント低下した場合の特例が継続されています。
特例経費の拡充
2025年度からパソコン、タブレット、車両も特例対象となり、より幅広い設備投資が助成対象となっています。
よくある質問(FAQ)
Q1: 2025年度の申請期間はいつですか?
A1: 2025年度は2期制となっており、第1期は4月14日~6月13日、第2期は6月14日~最低賃金改定前日です。
Q2: 助成率はどのように変更されましたか?
A2: 2025年度から、事業場内最低賃金1,000円未満は80%、1,000円以上は75%となり、生産性要件による引き上げは廃止されました。
Q3: みなし大企業とは何ですか?
A3: 大企業と密接な関係を持つ企業のことで、2025年度から業務改善助成金の対象外となりました。
Q4: 雇用期間要件はどう変更されましたか?
A4: 2025年度から、雇入れ後6ヶ月以上の労働者が対象となり、従来の3ヶ月から厳格化されました。
Q5: 予算はどの程度拡充されましたか?
A5: 2025年度は予算が8.2億円から22億円へと2.5倍に増額され、より多くの企業が助成を受けられるようになりました。
まとめ
2025年度の業務改善助成金は、予算の大幅拡充と制度改正により、中小企業の賃上げと生産性向上をより強力に支援する制度となっています。特に重要なポイントは:
- 予算2.5倍拡充:22億円の大幅増額
- 2期制導入:早期賃上げの促進
- 助成率の変更:1,000円を境界とした新基準
- 特例経費の拡大:パソコン、タブレット、車両も対象
申請期間が短縮されているため、早期の検討と準備が重要です4。
最新の詳細情報については、厚生労働省のホームページをご確認ください。
