キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金の概要

キャリアアップ助成金は、有期契約労働者や短時間労働者、派遣労働者などの非正規雇用労働者を対象に、正社員化や処遇改善を促進するための制度です。企業がこれらの取り組みを行うことで、労働者のキャリアアップを支援し、職場の安定と生産性向上を図ります。

重要なお知らせ:2025年4月から制度が大幅に変更されており、支給額や手続きが変更されています。
また、令和7年3月31日までの正社員転換完了が推奨されているため、お早めの検討をおすすめします。

助成金を利用するメリット

人材定着の促進: 非正規雇用から正社員への転換により、従業員のモチベーションが向上し、離職率の低下が期待できます。

組織力の強化: 正社員化により、長期的な視点で人材育成が可能となり、組織全体の力を強化します。

コスト削減: 助成金を活用することで、転換や処遇改善にかかる費用負担を軽減できます。

適用対象

対象となる事業者の条件

キャリアアップ助成金を申請するためには、以下の条件を満たす必要があります:

  • 雇用保険適用事業所であること: 労働保険料を納入していること
  • 不正受給歴がないこと: 申請年度の前年度以前に不正受給がないこと

支援プランの概要

正社員化支援

正社員化コース: 有期契約労働者を正社員に転換した場合に助成されます。

障害者正社員化コース: 障害者を正社員に転換した場合に助成されます。

処遇改善支援

賃金規定等改定コース: 賃金規定を3%以上増額改定した場合に助成されます。

賃金規定等共通化コース: 賃金規定を他の雇用形態と共通化した場合に助成されます。

賞与・退職金制度導入コース: 賞与や退職金制度を新たに導入した場合に助成されます。

社会保険適用時処遇改善コース: 社会保険適用時に処遇改善を行った場合に助成されます(2025年度末まで)。

新設コース

短時間労働者労働時間延長支援コース: 2025年7月から新設される「130万円の壁」対策の新制度です。小規模企業では最大75万円の高額助成が受けられます。

キャリアアップ助成金の支給額

正社員化支援

正社員化コース(2025年4月改正)

有期契約者を正社員に転換

重点対象者以外

  • 中小企業: 40万円(30万円)
  • 大企業: 30万円(22.5万円)

重点対象者

  • 中小企業: 80万円(60万円)
  • 大企業: 60万円(45万円)

*()内は大企業の金額

重点対象者の条件

  • 雇入れから3年以上の有期雇用労働者
  • 雇入れから3年未満で、過去5年間に正規雇用労働者であった期間が1年以下かつ過去1年間に正規雇用労働者として雇用されていない者
  • 派遣労働者、母子家庭の母等、人材開発支援助成金の特定の訓練修了者

障害者正社員化コース

有期契約者を正社員に転換

  • 中小企業: 90万円
  • 大企業: 67.5万円

処遇改善支援

賃金規定等改定コース(2025年4月改正)

賃金規定を3%以上4%未満増額改定

  • 中小企業: 4万円
  • 大企業: 3万円

賃金規定を4%以上5%未満増額改定

  • 中小企業: 5万円
  • 大企業: 3.8万円

賃金規定を5%以上6%未満増額改定

  • 中小企業: 6.5万円
  • 大企業: 4.9万円

賃金規定を6%以上増額改定(新設)

  • 中小企業: 7万円
  • 大企業: 5.3万円

賃金規定等共通化コース

1事業所あたり

  • 中小企業: 60万円
  • 大企業: 45万円

賞与・退職金制度導入コース

1事業所あたり

  • 中小企業: 40万円
  • 大企業: 30万円

短時間労働者労働時間延長支援コース(2025年7月新設)

1年目の支給額

労働時間延長賃金引上げ幅大企業中小企業小規模企業
5時間以上指定なし30万円40万円50万円
4時間以上5時間未満5%以上30万円40万円50万円
3時間以上4時間未満10%以上30万円40万円50万円
2時間以上3時間未満15%以上30万円40万円50万円

2年目の追加支援
労働時間をさらに2時間以上延長し、基本給の5%以上増額または昇給・賞与・退職金制度の導入で、追加で最大25万円(小規模企業)が支給されます。

加算措置

人材開発支援助成金の訓練修了後に正社員化した場合

  • 有期→正規: 中小企業・大企業ともに9.5万円
  • 無期→正規: 中小企業・大企業ともに4.75万円

派遣労働者を派遣先で正規雇用労働者として直接雇用した場合

  • 中小企業・大企業ともに28.5万円

昇給制度新設加算(2025年度新設)

正社員化と同時に昇給制度を新設した場合

  • 中小企業: 20万円
  • 大企業: 15万円

このように、キャリアアップ助成金は多様なコースで構成されており、各コースごとに異なる条件と支給額が設定されています。最新の情報や詳細は厚生労働省の公式資料をご確認ください。

申請手続き

申請には「キャリアアップ計画」の作成が必要です。重要な変更:2025年4月から都道府県労働局長の認定が不要となり、届出のみで済むようになりました。

計画は各コース実施日の前日までに作成し、届出する必要があります。計画には対象者、目標、期間、具体的な取り組み内容などを記載します。

注意点

  • 各種手続きや賃金の支払いは法令に基づき適切に行う必要があります
  • 申請時にはタイムカードや賃金台帳の照合が行われるため、未払い残業代などがないよう事前確認が必要です
  • 制度内容は定期的に変更されるため、最新情報を確認することが重要です
  • 令和7年3月31日までの正社員転換完了が推奨されています

この多様な支援プランを通じて、企業は非正規雇用から正社員への転換や処遇改善を促進し、人材育成と組織力強化を図ることができます。

キャリアアップ助成金の活用事例

製造業での正社員化と研修

ある製造業の企業では、契約社員を正社員化するためにキャリアアップ助成金を活用しました。この企業は、技術営業に必要な専門知識を持つ人材を育成するため、6ヶ月間の契約社員期間中にOFF-JT(座学による研修)とOJT(実践研修)を実施しました。その後、正社員として登用し、以下の成果を得ました。

スキル向上: 技術研修を通じて、従業員が製品や業界知識を深め、技術営業として即戦力化。

人材定着: 正社員化によって従業員のモチベーションが向上し、離職率が低下。

助成金受給: キャリアアップ助成金(正社員化コース)として40万円を受給(2025年度制度)。

動物病院での専門知識習得と正社員化

動物病院では、契約社員として雇用した従業員に対して専門知識を身につけさせるためにキャリアアップ助成金を活用しました。6ヶ月から1年間の契約期間中にOFF-JTで専門的な研修を受けさせ、その後正社員化しました。

専門性強化: 研修によって従業員が動物医療の専門知識を習得し、顧客対応力が向上。

組織力強化: 専門知識を持つスタッフが増えたことで、病院全体のサービス品質が向上。

助成金受給: キャリアアップ助成金(正社員化コース)として40万円、および人材開発助成金として150,000円を受給(2025年度制度)。

建設業での契約社員から正社員への転換

建設業のある企業では、雇入れから3年以上の契約社員6名を正社員化するためにキャリアアップ助成金を利用しました。重点対象者に該当するため、高額助成を受けることができ、以下のような成果が得られました。

安定した雇用: 正社員化によって従業員の雇用が安定し、長期的な人材確保が可能に。

生産性向上: 正社員としての責任感から作業効率が向上し、生産性が向上。

助成金受給: キャリアアップ助成金(正社員化コース・重点対象者)として480万円(80万円×6名)を受給(2025年度制度)。

小規模企業での新制度活用事例

ある小規模企業では、2025年7月から開始された短時間労働者労働時間延長支援コースを活用し、パートタイム従業員の労働時間を週5時間延長しました。

働き方の改善: 従業員が「130万円の壁」を気にせず働けるようになり、収入が安定。

企業の成長: より多くの労働時間を確保できることで、事業の拡大が可能に。

助成金受給: 1年目に50万円、2年目に追加で25万円、合計75万円を受給。

これらの事例からわかるように、キャリアアップ助成金は企業の規模や業種を問わず、効果的に活用できる制度です。特に2025年度の制度改正により、重点対象者制度や新設コースなど、より多様な選択肢が用意されています。

最新情報について

制度内容は定期的に変更されるため、申請前には必ず最新の要綱・要領をご確認ください。
年度の途中で助成金制度の要件等が変更になる場合もございますので、取組を実施する際には最新の要件等について、事前に管轄の労働局またはハローワークへお問い合わせください。

最新の詳細情報については、厚生労働省のホームページをご確認ください。

上部へスクロール