こんにちは!傷病手当金の計算方法について、わかりやすく解説します。
「計算方法がよくわからない」「自分で計算してみたいけど自信がない」そんな方のために、具体例を交えながら詳しく説明していきますね。
傷病手当金の算定基礎と支給率
傷病手当金の1日当たりの金額を計算するために使用される額を算定基礎といいます。休業を開始した日を含めて、連続する3日間の待機期間が経過した後、4日目から支給される傷病手当金は、この算定基礎をもとに計算されます。
算定基礎は、支給開始日の以前12か月間の各標準報酬月額を平均した額となります。重要なポイントとして、傷病手当金の支給期間は支給開始日から最長1年6ヶ月となります。この期間は、同一の病気やケガによる休業期間を通算して計算されます。
ただし、加入期間が12ヶ月未満の方は、次の2つのうち低い方の額が使用されます:加入してからの期間の標準報酬月額の平均額、または全被保険者の標準報酬月額の平均額となります。
※全被保険者の標準報酬月額の平均額は、毎年度の告示・通知で確定します。2025年度は現時点の案内に基づき32万円とされていますが、最終値は最新の公表資料でご確認ください。
標準報酬月額について
標準報酬月額とは、被保険者の実際の給与に基づいて決められた月額のことです。
ここでいう給与には、基本給、役付手当、通勤手当、残業手当、その他の諸手当が含まれます。
定時決定
4月~6月の給与をもとに9月から翌年8月までの標準報酬月額が決まります(支払基礎日数17日以上の月が対象)。
例えば、毎月の給与が283,000円の場合、標準報酬月額は280,000円となります。
随時改定
基本給や通勤手当など固定的な給与の変更があった場合、連続する3か月の報酬の平均額に大きな変動があれば、変更月の翌月から新しい標準報酬月額が適用されます。
2025年度の等級と支給額
最高等級は150万円(1日当たりの上限額:33,333円)、最低等級は5.8万円(1日当たりの下限額:1,289円)となっています。
全被保険者の標準報酬月額平均額は32万円です。
※1日当たり額の上限・下限は、当該年度の標準報酬月額の最高・最低等級に連動します。年度が変わると数値が変動するため、適用年度の等級表を参照してください。
この変更により、任意継続被保険者の標準報酬月額の上限も同様に引き上げられ、傷病手当金の算定にも影響します。(最新情報などは協会けんぽのHPでご確認いただけます)
傷病手当金の支給率とは
傷病手当金の支給率は、3分の2(約66.67%)となります。標準報酬月額の平均額を30で割り、さらに3分の2をかけることで1日あたりの支給額が算出されます。
傷病手当金の上限額と下限額
傷病手当金には、上限額と下限額が設定されています。
2025年度の場合、標準報酬月額の最高等級(150万円)と最低等級(5.8万円)に基づいて計算されます。
これは、極端に高額な支給や低額な支給を防ぐためのものです。
傷病手当金の調整額と減額事由
傷病手当金は、病気やけがで仕事を休んだ場合の所得保障制度ですが、以下のような場合には支給額が調整されます。
給与との調整
休業期間中に傷病手当金の日額と同額以上の給与が支給される場合は傷病手当金は支給されません。給与が一部のみ支給された場合は、傷病手当金との差額分が支給されます。
他の給付との調整
障害厚生年金または障害手当金との調整では、同一の傷病による給付を受けている場合、360分の1が傷病手当金の日額より少ない場合、その差額が支給されます。
老齢退職年金との調整については、資格喪失後の継続給付を受けている方は、年金額の360分の1が傷病手当金の日額より少ない場合、その差額が支給されます。
労災保険の休業補償給付との調整では、同一または別の傷病で休業補償給付を受けている場合、その給付の日額が傷病手当金の日額より少ないとき、その差額が支給されます。
出産手当金との調整においては、同一期間に両方の給付を受けられる場合は、出産手当金の額が傷病手当金より少ない場合、その差額が支給されます。
傷病手当金の支払い方法と支払い時期
申請には「傷病手当金支給申請書」に事業主と医師の証明が必要です。
基本的な申請の流れとしては、被保険者が申請書を記入し医師の証明を受けた後、会社(事業主)に提出します。健康保険組合に加入している場合は、会社が事業主証明欄を記入して健康保険組合へ提出するのが一般的です。協会けんぽの場合も同様のプロセスが多いです。
支払いについては、協会けんぽでは原則として保険者から被保険者の指定口座に直接振り込まれる方法が採用されています。また、健康保険組合によっては独自の運用を行っている場合があります。
申請から支払いまでは通常2~4週間程度です。ただし、書類の不備があると遅れる場合があります。
なお、退職後に継続して傷病手当金を申請する場合は、被保険者が直接保険者に提出するという点が異なりますので、ご注意ください。各健康保険組合によって申請方法や手続きの詳細が異なる場合もありますので、所属する健康保険組合のウェブサイトや窓口で確認されることをお勧めします。
傷病手当金の計算例
具体的な計算例を見てみましょう!
Aさんのケース(2025年度の場合):直近12ヶ月の標準報酬月額が28万円(10ヶ月)、30万円(2ヶ月)で、休業期間が2025年4月15日から5月14日までの30日間、この期間の給与支払いがない場合を考えます。
1日あたりの支給額の計算:
= [(28万円×10+30万円×2)÷12] ÷ 30 × 2/3
= 28.33…万円 ÷ 30 × 2/3
= 9,444円(30で割った後、1円単位で四捨五入)× 2/3
= 6,296円(2/3を掛けた後、1円単位で四捨五入)
支給額の計算は、待期期間(最初の3日間)を除く27日分となり、6,296円 × 27日 = 169,992円となります。
申請に必要な書類について
傷病手当金を申請する際は、以下の書類や情報が必要となります。
基本的な申請書類
傷病手当金支給申請書には、休業者の基本情報(氏名、生年月日、保険証番号など)、振込先口座情報、休業期間の詳細が記入されています。
医師の証明書類には、傷病名、療養が必要な期間、労務不能であることの証明、初診日と終診日(見込み)が含まれます。
事業主の証明書類には、休業期間中の出勤状況、賃金支払い状況の詳細、業務内容と業務災害でないことの証明が含まれます。
注意点
申請書類は原本が必要です。また、医師の証明は、申請する休業期間すべてについて必要です。事業主証明がない場合、手続きが遅れる可能性があります。
手続きについて不安な点があれば、お近くの年金事務所や社会保険労務士、または協会けんぽの各都道府県支部にご相談ください。
また、電子申請に関する詳しい情報は、協会けんぽのホームページでご確認いただけます。
傷病手当金によくある質問
Q1. 傷病手当金は有給休暇と併用できますか?
有給休暇と傷病手当金は同じ期間に併用することはできません。有給休暇中は通常通りの給与が支払われるため、傷病手当金の支給要件である「業務外の事由による病気やケガの療養のため労務に服することができないこと」に該当しないと判断されます。ただし、有給休暇を先に使い切った後に傷病手当金を申請することは可能です。計画的な活用をご検討ください。
Q2. パートタイムや契約社員でも傷病手当金を受け取れますか?
はい、パートタイム労働者や契約社員であっても、健康保険の被保険者となっていれば傷病手当金を受け取ることができます。健康保険の被保険者資格は、原則として「1日または1週間の所定労働時間」および「1か月の所定労働日数」が通常の労働者の4分の3以上である場合に取得できます。
Q3. 精神疾患(うつ病など)でも傷病手当金は支給されますか?
はい、精神疾患も傷病手当金の対象となります。うつ病、適応障害、不安障害などの精神疾患で労務不能と医師に認められた場合も、身体の疾患と同様に傷病手当金を受け取ることができます。申請の際には、精神科医または心療内科医の診断書が必要となります。この診断書には療養期間中の労務不能であることの証明が含まれていることが重要です。
制度や最新情報などについては協会けんぽのホームページも参考にしてください。
傷病手当金の支給期間の通算化など、制度改正に関する詳細情報や申請書の記入例なども掲載されており、大変参考になります。
