年5日の有給取得義務、管理簿の作り方と罰則は?

ご相談内容【想定相談事例】

大阪市内で従業員15名の小売業を営んでいます。数年前から「有給休暇を年5日取らせないといけない」と聞いていますが、正直なところ、誰が何日取ったかをきちんと管理できていません。

繁忙期には「有給を取りたい」と言い出しにくい雰囲気もあり、気づけば年度末になって「あの人、まだ1日も取ってない」ということもあります。このままだと法律違反になるのでしょうか?

また、有給休暇の管理簿とはどのようなものか、違反した場合の罰則についても教えてください。

お悩み

  • 年5日の有給取得義務って何?
  • 管理簿はどうやって作ればいい?
  • 違反するとどうなる?

結論:年10日以上付与された社員には、年5日取得させる義務がある

結論から申し上げますと、年次有給休暇が10日以上付与される従業員に対しては、会社が時季を指定してでも、年5日取得させることが法律で義務付けられています。

年5日取得義務のポイント
① 対象は、年10日以上有給が付与される全従業員(パート・アルバイト含む)
② 会社が時季を指定してでも、年5日取らせる必要がある
③ 有給休暇管理簿を作成し、3年間保存する義務がある
④ 違反した場合、1人あたり30万円以下の罰金

「本人が取りたがらない」「忙しいから無理」は理由になりません。会社として計画的に取得させる仕組みが必要です。

年5日の有給取得義務とは

2019年4月から義務化された制度

働き方改革関連法により、2019年4月から、すべての企業に「年5日の有給休暇取得義務」が課されました。

対象となる従業員

年次有給休暇が年10日以上付与される従業員が対象です。

対象になる人の例

  • 入社6か月以上で、出勤率8割以上の正社員
  • 週4日勤務で、年10日以上付与されるパート・アルバイト
  • 契約社員、嘱託社員なども含む

雇用形態に関わらず、年10日以上付与される人は全員対象です。

会社がやるべきこと

従業員が自分で5日以上取得していれば問題ありませんが、取得が進まない場合は、会社が時季を指定して取得させる必要があります。

時季指定の方法

  • 従業員の意見を聴いたうえで、会社が具体的な日を指定する
  • 計画的付与制度(年間カレンダーで一斉取得日を決めるなど)を活用する
  • 個別に「この週のどこかで取ってください」と指定する

有給休暇管理簿の作り方

管理簿とは何か

有給休暇管理簿とは、従業員ごとに、

  • 有給休暇の付与日(基準日)
  • 付与日数
  • 取得した日付

を記録した帳簿のことです。

記載すべき項目

厚生労働省が推奨する記載項目は、次の通りです。

  • 従業員の氏名
  • 有給休暇の基準日(付与日)
  • 付与日数
  • 取得日(実際に取得した日付)
  • 取得日数の累計

管理簿の形式

特に決まった様式はありません。
エクセルや勤怠管理システムで管理しても構いませんし、厚生労働省が公開している様式を使うこともできます。

管理簿のポイント

  • 紙でもデータでも可
  • 従業員ごとに作成する
  • 3年間保存する義務がある

管理簿の保存期間

有給休暇管理簿は、作成した日から3年間保存する義務があります。
労働基準監督署の調査があった場合、提出を求められることもあります。

年5日取得させるための具体的な方法

取得状況を定期的に確認する

年度末になって慌てないよう、定期的に取得状況を確認します。

確認のタイミング例

  • 毎月末に、全従業員の取得状況を集計
  • 半年経過時点で、取得が進んでいない人をチェック
  • 残り3か月の時点で、未取得の人に声をかける

計画的付与制度の活用

あらかじめ会社が一斉に有給休暇を取得する日を決める「計画的付与制度」を導入すると、管理がしやすくなります。

計画的付与の例

  • お盆休みや年末年始の前後に、会社全体で一斉取得
  • 毎月第3金曜日を有給取得推奨日にする
  • 誕生日月に1日取得するルールを作る

ただし、計画的付与で指定できるのは、付与日数のうち5日を超える分のみです。
(例:年10日付与の人の場合、5日分は本人が自由に取れるようにし、残り5日を計画的付与にできます)

時季指定の実施

年度末が近づいても取得が進まない場合は、会社が時季を指定します。

時季指定の流れ
① 本人に希望を聴く(「いつ取りたいですか?」)
② 希望を踏まえて、具体的な日を指定する
③ 書面やメールで通知する

本人が「いつでもいい」と言う場合でも、会社が具体的な日を指定する必要があります。

違反した場合の罰則

罰則の内容

年5日の有給休暇を取得させなかった場合、労働基準法違反として、次の罰則が科される可能性があります。

  • 30万円以下の罰金(1人あたり)

たとえば、5人の従業員に年5日取得させなかった場合、最大150万円の罰金となる可能性があります。

労働基準監督署の調査

違反が発覚した場合、労働基準監督署から是正勧告を受けます。
悪質なケースでは、送検され企業名が公表されることもあります。

未然に防ぐためのポイント

  • 毎月、取得状況を確認する
  • 年度途中で取得が遅れている人に声をかける
  • 取得しやすい職場の雰囲気をつくる

よくある質問

Q1:本人が「有給を取りたくない」と言った場合は?

A:それでも会社には取得させる義務があります。
本人の希望を聴いたうえで、時季を指定して取得させる必要があります。

Q2:年度の途中で入社した人はどうなる?

A:入社から6か月経過後に、年10日以上の有給が付与される場合は対象です。
その日から1年以内に5日取得させる必要があります。

Q3:パートやアルバイトも対象ですか?

A:はい、対象です。
週の所定労働日数や労働時間に応じて、年10日以上付与される場合は、年5日取得させる義務があります。

Q4:管理簿を作っていなかった場合はどうなる?

A:管理簿の未作成・未保存も、労働基準法違反となります。
今からでも遅くないので、すぐに作成して記録を始めてください。

まとめ

年5日の有給取得義務については、

  • 年10日以上付与される全従業員が対象(パート・アルバイト含む)
  • 会社が時季を指定してでも、年5日取得させる義務がある
  • 有給休暇管理簿を作成し、3年間保存する
  • 違反すると1人あたり30万円以下の罰金

という点をしっかり押さえておく必要があります。

上本町社会保険労務士事務所では、有給休暇管理簿の作成方法、取得促進のための社内ルールづくり、計画的付与制度の導入サポート、就業規則への記載方法などを通じて、法律を守りながら従業員が安心して休める職場づくりをお手伝いしています。

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