【法改正】所定外労働の制限対象拡大【育児・介護休業法】~2025年4月施行~

育児・介護休業法

中小企業の経営者・人事担当者の皆様、2025年4月から育児・介護休業法が大きく変わります。今回の改正では、所定外労働の制限対象拡大や育児休業取得状況の公表義務拡大など、重要な変更が予定されています。

改正の背景と目的

深刻化する少子化問題

日本の出生数は2023年に80万人を下回り、さらに2024年には70万人を割り込む可能性が指摘されています。この危機的状況に対応するため、仕事と育児の両立支援の強化が急務となっています。

育児と仕事の両立における課題

現状の課題

  • 3歳以降の子育て期における時間外労働の負担増加
  • 保育園送迎と残業の両立困難
  • 子どもの急な発熱等への対応の難しさ

企業の実態

  • 約40%の企業が育児休業制度の運用に課題
  • 特に中小企業での両立支援制度の整備の遅れ
  • 男性の育児参加を促進する体制の不足

働き方改革の新たな展開

多様な働き方のニーズ

  • コロナ禍を経て定着したテレワークの活用
  • 時間外労働の削減要請の高まり
  • 仕事と育児の両立に向けた柔軟な勤務体制の必要性

人材確保の観点

  • 育児世代の離職防止
  • 優秀な人材の採用・定着
  • 企業の持続的成長に向けた人材活用

この改正は、こうした社会的要請に応えるとともに、企業の持続的成長と労働者のワーク・ライフ・バランスの実現を目指すものです。

主要な改正ポイント

  1. 所定外労働の制限対象拡大
    ・現行:3歳未満の子を養育する労働者
    ・改正後:小学校就学前の子を養育する労働者まで拡大
    ・労働者からの請求により所定外労働を制限
  2. 子の看護休暇制度の拡充
    ・対象年齢を小学校3年生まで拡大
    ・学校行事への参加も取得理由として認められる
    ・勤続6ヶ月未満の労働者も取得可能に
  3. 育児休業取得状況の公表義務拡大
    ・現行:従業員1,000人超の企業
    ・改正後:従業員300人超の企業に拡大
    ・公表項目:育児休業等の取得割合、育児休業等と育児目的休暇の取得割合
  4. テレワーク推進の努力義務化
    ・3歳未満の子を養育する労働者を対象
    ・事業主の努力義務としてテレワークの導入を追加
  5. 介護に関する制度の拡充
    ・介護に関する個別周知の義務化
    ・介護休業等の取得意向確認の実施
    ・40歳等の従業員への介護両立支援制度等の情報提供
    ・介護休暇の勤続6ヶ月未満除外規定の廃止

企業に求められる対応

就業規則の改定
・所定外労働の制限規定の見直し
・子の看護休暇制度の改定
・テレワーク規定の整備
・介護休業制度に関する規定の整備

社内体制の整備
・育児休業取得状況の把握・公表体制の構築
・テレワーク環境の整備検討
・介護に関する相談窓口の設置
・管理職への研修実施

実務上の留意点
・制度導入までのスケジュール管理
・就業規則変更に伴う労使協定の見直し
・従業員への周知方法の検討
・運用マニュアルの整備

よくある質問と回答

Q1: 所定外労働の制限は全ての従業員が対象ですか?
A1: 小学校就学前の子を養育する労働者が対象です。パート・アルバイトを含む全ての雇用形態に適用されます。

Q2: 育児休業取得状況の公表はどのように行えばよいですか?
A2: 自社のウェブサイトや厚生労働省の専用サイトでの公表が可能です。具体的な様式は今後示される予定です。

Q3: 介護休業制度の個別周知はどのように行えばよいですか?
A3: 面談、書面交付、メール等による通知が認められます。確実な周知方法の記録保持が重要です。

Q4: 子の看護休暇の拡充について、具体的にどのような場合に取得できますか?
A4: 従来の子どもの病気・けがの看護に加えて、学校行事(入学式、運動会、参観日等)への参加も取得理由として認められます。また、対象となる子どもの年齢も小学校3年生まで拡大されます。

Q5: テレワーク導入の努力義務とは、具体的にどのような対応が必要ですか?
A5: 3歳未満の子を養育する労働者のために、業務の性質上可能な範囲でテレワーク制度の導入・実施を検討する必要があります。導入が困難な場合は、その理由を明確にしておくことが望ましいでしょう。

Q6: 就業規則の変更はいつまでに行う必要がありますか?
A6: 2025年4月1日の施行日までに変更する必要があります。労使協議や従業員への周知期間を考慮すると、2024年内に着手することをお勧めします。

まとめ

2025年4月の改正に向けて、以下の準備が必要です:

  1. 制度設計と規程整備
  2. 社内体制の整備
  3. 従業員への周知
  4. 運用体制の確立

なお、本記事の内容は2024年12月時点の情報に基づいています。今後、具体的な運用方法について厚生労働省から詳細が示される予定です。

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