ご相談内容【想定相談事例】
大阪市内で倉庫業を営んでいます。先日、従業員が荷物を運搬中に転倒し、手首を骨折しました。
従業員から「労災を使いたい」と言われましたが、労災申請は初めてで手順が分かりません。
会社として何をすればいいのでしょうか?また、労災申請は従業員が自分でやるものなのか、会社が代わりにやるものなのかも分かりません。
労災申請の手順と、会社の義務について教えてください。
お悩み
- 労災申請は誰がするの?
- 会社は何をすればいい?
- どんな書類が必要?
- 手続きの期限はある?
結論:会社には助力義務と証明義務があります
結論から申し上げますと、労災申請の主体は従業員本人ですが、会社には以下の2つの義務があります(労災保険法施行規則第23条)。
① 手続きの助力義務:従業員が自分で手続きできない場合、会社が手続きを助ける
② 必要な証明義務:申請書の事業主証明欄に署名・押印する
実務では、会社が窓口となって申請手続きをサポートするのが一般的です。
また、休業が4日以上の場合は、労働者死傷病報告を労働基準監督署に提出する義務もあります。
労災申請の主体と会社の義務
労災申請は誰がするのか
原則:従業員本人が申請する
労災保険法では、労災の給付を受けようとする者(従業員本人)が、労働基準監督署長に請求書を提出することが原則です。
実務:会社が窓口となることが一般的
ただし、ケガで動けない従業員が自分で手続きするのは困難です。そのため、労災保険法施行規則第23条により、会社には「手続きの助力義務」が定められています。
実務では、会社が窓口となって申請書を作成し、従業員に代わって労働基準監督署に提出することが一般的です。
会社の2つの義務
① 手続きの助力義務
従業員が自分で労災請求の手続きができない場合、会社はその手続きができるように助力しなければなりません。
- 労災申請書の用紙を入手する
- 申請書の記入方法を説明する
- 申請書を労働基準監督署に提出する
② 必要な証明義務
労災申請書には「事業主証明欄」があり、会社が以下の事項を証明する必要があります。
- 災害の原因及び発生状況
- 負傷または発病年月日・時刻
- 療養のため労働できなかった期間
- 賃金を受けなかった日数
- 平均賃金
会社は、従業員から証明を求められた場合、速やかに証明しなければなりません。
労災申請を拒否できるか
原則:拒否できない
会社には証明義務があるため、基本的に労災申請を拒否することはできません。
「会社が労災と認めないと申請できない」というのは誤解です。
例外:労災と認められない場合
ただし、以下のような場合は、会社として労災と認められない旨を申請書に記載することができます。
- 業務と無関係な私的行為中のケガ
- 事実と異なる内容が記載されている
この場合でも、従業員は自分で労災申請ができます。最終的な判断は労働基準監督署が行います。
労災申請の手順
基本的な流れは以下の4ステップです。
病院を受診する
従業員を病院に受診させます。労災指定病院なら窓口負担はありません。
申請書を準備する
労災の種類に応じた申請書を準備します。
- 療養補償給付(様式第5号):治療費
- 休業補償給付(様式第8号):休業補償
厚生労働省のウェブサイトまたは労働基準監督署で入手できます。
申請書を記入する
従業員が記入する欄と、会社が記入する欄(事業主証明欄)があります。
会社は災害発生状況、負傷日時、賃金額などを正確に記入し、会社印を押印します。
労働基準監督署に提出する
記入した申請書を、会社の所在地を管轄する労働基準監督署に提出します。
窓口持参または郵送で提出できます。
労働者死傷病報告の提出
休業が4日以上の場合、会社は「労働者死傷病報告」を労働基準監督署に提出する義務があります。
これを怠ると、50万円以下の罰金が科される可能性があります。
休業1〜3日目の休業補償
労災保険は休業4日目から支給されます。
休業1〜3日目については、会社が平均賃金の60%を直接従業員に支払う義務があります。
これは労働基準法による会社の補償責任です。
よくある質問
Q1:労災申請すると会社に不利益がある?
A:直接的な不利益はほとんどありません。
労災保険料が多少上がる可能性はありますが、微々たるものです。労災隠しの方がはるかにリスクが高いです。
Q2:健康保険で処理してもいい?
A:いいえ、業務上のケガは労災保険を使う必要があります。
健康保険で処理すると、後で返還を求められる可能性があります。
Q3:従業員が労災申請を拒否したら?
A:会社から説明し、申請を促しましょう。
労災を使わないと、従業員が治療費を全額負担することになります。会社にも報告義務があります。
Q4:労災申請の期限は?
A:治療費は療養開始から2年、休業補償は休業開始から2年です。
ただし、速やかに申請することが望ましいです。
職場でケガをした社員がいる場合、
会社には助力義務と証明義務があります。
- 労災申請の主体は従業員本人
- 会社は手続きをサポートする義務がある
- 事業主証明欄への署名は義務
- 休業4日以上は労働者死傷病報告が必要
- 休業1〜3日目は会社が補償
労災申請を適切に行うことで、
従業員の権利を守り、会社のリスクも減らせます。
上本町社会保険労務士事務所では、
労災申請の手続きサポートを行っています。
「初めての労災で手順が分からない」
「申請書の記入方法が不安」
そんなお悩みがあれば、まずはお気軽にご相談ください。
【上本町社会保険労務士事務所】
大阪市天王寺区上本町
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