健康保険の傷病手当金ってなに?

傷病手当金の概要

傷病手当金とは、健康保険に加入している労働者が、病気やケガで仕事を休んだ場合に、給与の一部を補うために支給される給付金です。健康保険傷病手当金は、休業開始から4日目から支給されます。支給期間は、支給開始日から通算して最長18か月(1年6か月)です。支給期間中に途中で就業に就くなど、傷病手当金が支給されない期間がある場合には、支給開始日から起算して1年6か月を超えていても、繰り返し支給可能となります(令和4年より改正)。支給率は、約66.6%です。

傷病手当金は
・業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
・仕事に就くことができないこと
・連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
・休業した期間について給与の支払いがないこと
の4つの条件をすべて満たした場合に支給されます。

傷病手当金は、病気やケガで仕事を休んだ期間のうち、最初の3日を除き(これを「待期」といいます。)4日目から支給されます。その支給期間は、令和4年1月1日より、支給を開始した日から通算して1年6ヵ月に変わりました。ただし、支給を開始した日が令和2年7月1日以前の場合は、いままでどおり支給を開始した日から最長1年6ヵ月までの期間になります。

傷病手当金計算例

1日当たりの金額(原則)
【支給開始日の以前12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額】÷30日× (2/3)

以下の場合は計算方法が異なります。
・支給開始日以前の加入期間が12ヵ月に満たない場合
・資格喪失後に老齢退職年金を受けている場合
・障害厚生年金または障害手当金を受けている場合
・労災保険から休業補償給付を受けていた(受けている)場合
・傷病手当金と出産手当金を同時に受けられる場合

傷病手当金のメリット

・経済的な負担を軽減することができます。
病気やケガで仕事を休んだ場合、給与が減ったり、全く支払われなかったりすることがあります。そのような場合に、傷病手当金が支給されることで、生活費や治療費などの必要な支出をまかなうことができます。

・心理的な安心感を得ることができます。
病気やケガで仕事を休んだ場合、仕事に復帰できるかどうか不安になることがあります。そのような場合に、健康保険傷病手当金が支給されることで、少しでも気持ちに余裕を持つことができます。

・早期の回復や復職につながることができます。
病気やケガで仕事を休んだ場合、早く治したいと思うことがあります。そのような場合に、健康保険傷病手当金が支給されることで、適切な治療やリハビリテーションを受けることができます。また、仕事に復帰する際にも、健康保険傷病手当金の支給期間内であれば、雇用関係は維持されるため、安心して職場復帰することができます。

傷病手当金の支給要件

以下の4つの条件をすべて満たした場合に支給されます。

・業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること

・仕事に就くことができないこと

・連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと

・休業した期間について給与の支払いがないこと

業務外の事由による病気やケガとは、業務上・通勤災害によるものではなく、自宅やプライベートで発生したものを指します。健康保険給付として受ける療養に限らず、自費で診療を受けた場合でも、仕事に就くことができない状態であれば、傷病手当金の対象となります。ただし、病気と見なされないもの(美容整形など)は除きます。

仕事に就くことができないことは、医師等の診断書や証明書を基に判断されます。被保険者の仕事の内容や職場の環境も考慮されます。例えば、声帯結節で声が出ない場合、電話オペレーターは仕事に就くことができませんが、データ入力の仕事は可能です。

連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったことは、休業開始から3日目までは待期として傷病手当金は支給されませんが、4日目以降は支給されます。待期には、有給休暇や土日・祝日等の公休日も含まれます。また、就労時間中に業務外の事由で発生した病気やケガにより仕事に就くことができなくなった場合、その日を待期の初日として起算します。

休業した期間について給与の支払いがないことは、傷病手当金は生活保障を目的とした制度であるため、給与が支払われている場合は支給されません。ただし、休業した期間について給与が支払われてもその額が傷病手当金より少ない場合は、その差額が支給されます。

傷病手当金の申請から支給の流れ

・健康保険傷病手当金支給申請書を記入する

・療養担当者(医師等)に診断書を作成してもらう

・申請書と診断書を所属する支部に提出する

・支部から支給決定通知書が届く

・支給決定通知書に記載された口座に傷病手当金が振り込まれる

健康保険傷病手当金支給申請書は、全国健康保険協会のホームページからダウンロードする事ができます(健康保険組合の場合は健康保険組合のホームページからダウンロードまたは、人事部等に相談してください)。
申請書には、被保険者の氏名や住所、休業開始日や休業期間、給与の有無などを記入します。また、療養担当者には、診断書に病名や症状、治療方針、仕事に就けない期間などを記入してもらいます。

申請書と診断書は、所属する支部または健康保険組合に提出します。申請期限は、休業開始日から2年以内です。申請書と診断書が揃っていれば、支部から支給決定通知書が届きます。支給決定通知書には、支給される傷病手当金の額や期間が記載されています。

傷病手当金は、支給決定通知書に記載された口座に振り込まれます。

傷病手当金の支給期間と停止事由

健康保険傷病手当金の支給期間は、通算1年6か月です。
ただし、以下の場合は支給が停止(調整)されます。

・給与の支払いがあった場合

・障害厚生年金または障害手当金を受けている場合

・老齢退職年金を受けている場合

・労災保険から休業補償給付を受けていた(受けている)場合

・出産手当金を同時に受けられる場合

給与の支払いがあった場合は、傷病手当金は支給されません。ただし、休業した期間についての給与の支払いがあってもその額が傷病手当金より少ない場合は、その差額が支給されます。

障害厚生年金または障害手当金を受けている場合は、同一の傷病等による厚生年金保険の障害厚生年金または障害手当金を受けている場合、傷病手当金は支給されません。ただし、障害厚生年金の額(同一支給事由の障害基礎年金が支給されるときはその合算額)の360分の1が傷病手当金の1日当たりの額より少ない場合は、その差額が支給されます。

老齢退職年金を受けている場合は、資格喪失後に老齢退職年金を受けている場合、傷病手当金は支給されません。ただし、老齢退職年金の額(同一支給事由の老齢基礎年金が支給されるときはその合算額)の360分の1が傷病手当金の1日当たりの額より少ない場合は、その差額が支給されます。

労災保険から休業補償給付を受けていた(受けている)場合は、労災保険から休業補償給付を受けていた(受けている)場合、傷病手当金は支給されません。ただし、休業補償給付の額が傷病手当金の1日当たりの額より少ない場合は、その差額が支給されます。

出産手当金を同時に受けられる場合は、出産手当金と傷病手当金を同時に受けられる場合、出産手当金と傷病手当金の合計額が出産手当金の1日当たりの額を超えない範囲で調整されます。