出産や育児と傷病手当金

出産や育児で休んだ場合の出産手当金と育児休業給付金

出産や育児で仕事を休むときには、健康保険と雇用保険からそれぞれ給付金が支給されます。これらの給付金は、出産や育児に伴う所得の減少を補償するためのものです。

出産手当金は、健康保険の制度で、出産のために仕事を休み、その間に給与が支払われない場合に支給されます。出産予定日の前42日間(多胎妊娠の場合は98日間)から出産翌日以降56日間までの範囲内で、仕事を休んだ期間に対して支給されます。出産手当金の額は、直近12ヶ月間の標準報酬月額の平均額を30で割ったものに2/3をかけたものです。出産手当金は、健康保険に加入している女性本人しか受給できません。

育児休業給付金は、雇用保険の制度で、育児休業を取得して仕事を休み、その間に給与が支払われない場合に支給されます。育児休業期間は、原則として子どもが1歳になるまでですが、延長や短縮が可能です。育児休業給付金の額は、直近12ヶ月間の賃金総額を365で割ったものに67%(子どもが1歳未満)または50%(子どもが1歳以上)をかけたものです。育児休業給付金は、雇用保険に加入している男女とも受給できます。

出産手当金と育児休業給付金は、両方同時に受けることができます。ただし、産後期間(出産翌日から56日間)は、第2子の産前休業の開始によって育児休業給付金の受給要件を満たすことができず、第2子の出産手当金のみ受給することができます。

出産や育児で休んだ場合の傷病手当金

傷病手当金とは、健康保険から支給される病気やケガで仕事を休んだ場合の所得補償制度です。傷病手当金は、仕事を連続して4日以上休んだ場合に、4日目以降に対して支給されます。傷病手当金の額は、直近12ヶ月間の標準報酬月額の平均額を30で割ったものに2/3をかけたものです。傷病手当金は、健康保険に加入している男女とも受給できます。

出産や育児で仕事を休んだ場合にも、傷病手当金の対象となる場合があります。例えば、以下のような場合です。

・妊娠中に切迫早産や妊娠悪阻などの合併症で入院や自宅療養をした場合。
・出産後に産褥熱や子宮内膜炎などの合併症で入院や自宅療養をした場合。
・育児休業中に別の原因で病気やケガをした場合。

ただし、傷病手当金と出産手当金を同時に受けられる場合は、出産手当金の支給が優先されます。また、傷病手当金と育児休業給付金を同時に受けられる場合は、その差額が支給されます。

出産や育児で休んだ場合の給与や賞与の影響

出産や育児で休んだ場合、給与や賞与はどうなるのでしょうか。法律上、企業は産休中や育休中に給与を支払う義務がありません。そのため、ほとんどの企業では、産休中や育休中は無給となります。
しかし、それでは産休中や育休中の生活費が心配ですよね。そこで、国や健康保険組合から支給される手当金や給付金があります。これらは、出産や育児で仕事を休んだことによる収入減を補うためのものです。

育児休業給付金とは、育児休業を取得して仕事を休んでいる間に、雇用保険から支給される給付金です。育児休業給付金の支給額は、基本的には平均賃金の67%(令和3年10月1日からは50%)です。ただし、平均賃金が高額な場合は上限額があります。
育児休業給付金は、子供が1歳になるまで(令和3年10月1日からは1歳6か月になるまで)の期間に支給されます。ただし、一定の条件を満たせば、子供が2歳になるまで延長することもできます。

賞与については、男女雇用機会均等法では、妊娠・出産等を理由として解雇その他不利益な取扱いをしてはならないと定められています。そのため、出産や育児で休んだことだけを理由に賞与を減額することは違法です。

しかし、実際には賞与の算定方法によって影響がある場合もあります。例えば、勤務実績や成果に応じて賞与を決める場合は、出産や育児で休んだ期間分が反映されない可能性があります。そのため、自分の会社の賞与制度を確認することが大切です。

出産や育児で休んだ場合の社会保険料や税金の扱い

出産や育児で休んだ場合、社会保険料や税金はどうなるのでしょうか。社会保険料には、健康保険料と厚生年金保険料があります。これらは、給与や賞与から天引きされることが多いです。
しかし、育児休業を取得すると、その間、給与や賞与から天引きされる社会保険料(健康保険料や厚生年金保険料)が、被保険者分・事業主分ともに免除されることになっています。つまり、育休中は社会保険料を払わなくてもいいのです。
ただし、社会保険料の免除を受けるには、一定の要件を満たす必要があります。例えば、育児休業給付金を受給していることや、育児休業期間が1年以内であることなどです。また、社会保険料の免除申請をする必要もあります。

税金には、所得税や住民税があります。これらは、年末調整や確定申告で計算されます。出産や育児で休んだ場合、収入が減るため、税金も減る可能性があります。
しかし、税金の計算には、所得だけでなく控除額も関係します。控除額には、基礎控除や配偶者控除などがあります。出産や育児で休んだ場合、控除額も変わる可能性があります。

例えば、配偶者控除は、自分以外に扶養する配偶者がいて、その配偶者の年収が103万円以下であれば受けられる控除です。出産や育児で休んだ場合、配偶者の年収が103万円以下になる可能性があります。その場合、配偶者控除を受けられるようになります。

その他にも、出産や育児に関する特別な控除があります。例えば、出産費用控除や子供手当控除などです。これらの控除を利用することで、税金を節約できる可能性があります。

出産や育児で休んだ場合のキャリアアップや再就職のコツ

出産や育児で休んだ場合、キャリアアップや再就職に影響があるかもしれません。しかし、それを機会に自分のキャリアプランを見直したり、新しいスキルを身に付けたりすることもできます。

キャリアアップや再就職を目指す場合のポイント。

・自分の強みや興味を見つけることです。出産や育児で休んだ期間は、自分のキャリアについて考える良い機会です。自分が何が得意で、何に興味があるのかを明確にすることで、自分に合った仕事を探したり、自分の価値をアピールしたりできます。

・スキルアップや資格取得に努めることです。出産や育児で休んだ期間は、スキルアップや資格取得に時間を割くことができます。オンライン講座や通信教育などを利用して、自分の専門性や知識を高めたり、新しいスキルを身に付けたりすることができます。これは、キャリアアップや再就職に有利になります。

・ネットワークを広げることです。出産や育児で休んだ期間は、ネットワークを広げることができます。SNSやオンラインコミュニティなどを活用して、同じ境遇の人や同じ業界の人と交流したり、情報交換したりすることができます。これは、キャリアアップや再就職のチャンスを増やすことにつながります。

・職場との連絡を保つことです。出産や育児で休んだ場合でも、職場との連絡を保つことが大切です。職場の状況や変化について知っておくことで、復職後の仕事にスムーズに入れます。また、職場の人との関係も良好に保つことができます。

・復職後の働き方を考えることです。出産や育児で休んだ後に復職する場合は、復職後の働き方を考えることが必要です。例えば、フルタイムかパートタイムか、在宅勤務か出社勤務か、育児休業中の業務内容や責任範囲などです。これらの働き方は、自分の希望だけでなく、職場の状況や制度も考慮する必要があります。