ご相談内容【想定相談事例】
大阪市内で従業員18名の会社を経営しています。育児・介護休業について、法律で定められた内容を「就業規則でも対応できているだろう」と思っていましたが、実は育児・介護休業に関する独立した規程をまったく作成していないことが判明しました。
さらに、2025年に育児・介護休業法が改正されたと聞いています。規程を新たに作成するにあたり、どの改正に対応する必要があるのか教えてください。
お悩み
- 育児・介護休業規程は必ず必要?
- 2025年法改正の内容と、就業規則への影響は?
- 規程を作成する際の具体的な手順は?
結論:育児・介護休業規程は実質的に必須。2025年改正は4月・10月の2段階で施行済み、いずれも規程の見直しが必要
結論から申し上げますと、育児・介護休業に関する規定は法律上義務付けられており、就業規則本体またはそれに付随する「育児・介護休業等に関する規則」として整備することが必要です。2025年は4月と10月の2段階で改正が施行されており、既存の規程を持つ会社でも対応が求められています。
2025年法改正対応のポイント
① 育児・介護休業に関する規程は法律上の義務であり、未整備のまま放置することはできない
② 2025年4月施行:子の看護等休暇の拡充、残業免除の対象拡大など(就業規則改定が必要)
③ 2025年10月施行:3歳〜小学校就学前の子を持つ社員への「柔軟な働き方措置」の義務化
④ 厚生労働省が最新の規定例(ひな形)を無料公表しており、これを活用するのが最も効率的
育児・介護休業規程とは
なぜ独立した規程が必要か
育児・介護休業法は非常に内容が多く、就業規則本体に全て盛り込むと非常に複雑になります。そのため、一般的には「就業規則本体」とは別に「育児・介護休業等に関する規則」として別規程を作成し、就業規則本体から「別に定める」と参照する形で運用します。
規程に定めるべき主な内容
- 育児休業(産後パパ育休を含む)の申請手続き・取得要件
- 介護休業の申請手続き・取得要件
- 子の看護等休暇・介護休暇の取得方法
- 育児期の短時間勤務・残業免除などの措置
- 個別周知・意向確認の実施方法
2025年法改正の主な内容
2025年4月施行(対応済みであることが必要)
| 改正項目 | 内容 | 規程改定の要否 |
|---|---|---|
| 子の看護等休暇の拡充 | 対象年齢を小学校3年生修了まで拡大、取得事由に学級閉鎖・入卒園式を追加、名称も「子の看護等休暇」に変更 | 必要 |
| 残業免除の対象拡大 | 3歳未満→小学校就学前の子まで拡大 | 必要 |
| テレワークの代替措置追加 | 3歳未満の短時間勤務の代替措置にテレワークを追加 | 必要 |
| 介護休暇の要件緩和 | 勤続6か月未満の労働者も取得可能に | 必要 |
| 育休取得状況の公表義務拡大 | 従業員300人超の企業に義務拡大(従来は1,000人超) | 規程は不要・社内体制の整備が必要 |
2025年10月施行(対応済みであることが必要)
最大のポイントは「柔軟な働き方を実現するための措置」の義務化です。
3歳〜小学校就学前の子を養育する社員に対して、次の5つの選択肢のうち2つ以上の措置を講じることが会社の義務になりました。さらに社員は、その中から1つを選んで利用できます。
① 始業時刻等の変更
② テレワーク等(月10日以上)
③ 保育施設の設置・運営等
④ 養育両立支援休暇の付与(年10日以上)
⑤ 短時間勤務制度
対応の手順
ステップ①:厚生労働省のひな形を入手する
厚生労働省は「育児・介護休業等に関する規則の規定例(令和7年4月・10月施行対応版)」を無料で公表しています。
- 「簡易版」と「詳細版」があり、小規模な会社は簡易版が使いやすい
- 厚生労働省のウェブサイトから無料でダウンロード可能
ステップ②:自社の状況に合わせてカスタマイズする
ひな形をそのまま使うのではなく、次の点を自社の状況に合わせて調整します。
- 選択する「柔軟な働き方の措置」2種類の選定
- 申請手続きの担当者・書式
- 有期雇用労働者の取り扱い
- 既存の就業規則との整合性
ステップ③:労働基準監督署へ届け出る
常時10人以上の従業員がいる場合は、就業規則(別規程含む)の変更を労働基準監督署に届け出る必要があります。届出の際は「意見書(労働者代表の署名・押印)」の添付が必要です。
ステップ④:従業員への周知
規程を作成・変更したら、全従業員に内容を周知します。
- 社内イントラ・掲示板への掲示
- 入社時の書類として配付
- 育休・産休取得予定者への個別説明
よくある質問
Q1:育児・介護休業規程を作っていない場合、罰則はある?
A:育児・介護休業の申出を拒んだ場合や制度の周知を怠った場合は、行政指導・勧告の対象になります。また、ハローワークの助成金受給の要件にもなっており、未整備では申請できません。早めの対応が必要です。
Q2:2025年10月の「柔軟な働き方の措置」、5つの中からどれを選べばよい?
A:会社の実態に合った2つを選ぶことができます。多くの中小企業では「始業時刻等の変更」と「短時間勤務制度」の組み合わせが実務的に導入しやすい傾向があります。社員のニーズや業務内容を踏まえて選定します。
Q3:有期雇用の社員(パートなど)も対象になる?
A:育児・介護休業法の改正により、有期雇用労働者の取得要件は段階的に緩和されています。「引き続き雇用された期間が1年以上」という要件は2022年に廃止済みで、現在は労使協定で一定の除外ができる場合を除き、原則として有期雇用社員も対象です。
まとめ
育児・介護休業規程の整備と2025年法改正対応については、
- 育児・介護休業規程は法律上義務であり、未整備は助成金申請や行政指導にも影響する
- 2025年4月:子の看護等休暇の拡充・残業免除の対象拡大など、規程改定が必要な改正が多数施行済み
- 2025年10月:3歳〜就学前の子を持つ社員への「柔軟な働き方措置」の義務化(5択から2つ以上)
- 厚生労働省のひな形を活用し、自社に合わせてカスタマイズすることが効率的
という流れが基本です。
上本町社会保険労務士事務所では、育児・介護休業規程の新規作成・改定、2025年法改正への対応チェック、就業規則全体の見直しなどを通じて、法令に対応した職場環境づくりをサポートしています。
「育児・介護休業規程を一から作りたい」
「2025年の法改正に対応できているか確認してほしい」
そんなお悩みがあれば、まずはお気軽にご相談ください。

